人流データを使ったまちづくりとは?メリットや事例を紹介
人口減少や少子高齢化が進む中、地域課題を解決するためにまちづくりや都市計画への新たなアプローチが求められています。その中でも近年注目されているのが、「人流データ」の活用です。
本記事では、人流データを活用したまちづくりが必要とされる背景や、人流データを活用するメリットと方法についてご紹介します。
実際に人流データがまちづくりに活用された事例についても取り上げますので、ぜひ参考にしてください。
人口減少や少子高齢化が進む中、地域課題を解決するためにまちづくりや都市計画への新たなアプローチが求められています。その中でも近年注目されているのが、「人流データ」の活用です。
本記事では、人流データを活用したまちづくりが必要とされる背景や、人流データを活用するメリットと方法についてご紹介します。
実際に人流データがまちづくりに活用された事例についても取り上げますので、ぜひ参考にしてください。
人流データを活用したまちづくりが求められる背景
近年の日本では、人口減少や少子高齢化が進行し、都市が持つ機能の低下が懸念されています。空き家の増加やインフラの老朽化、災害対策の遅れなどが大きな課題です。
さらに、ライフスタイルや価値観の多様化により、働き方・暮らし方が大きく変化し、従来の都市設計では対応が難しくなっています。こうした状況の中で、人流データをはじめとする各種データを活用することで、多様化する都市やライフスタイルの実態を的確に把握し、効果的なまちづくり・都市計画を進める必要性が一層高まっているのです。
人流データとは、スマートフォンのGPSやWi-Fi・ビーコン、携帯電話の基地局との通信履歴などから取得した位置情報をもとに、人の動きを可視化したデータです。
取得方法によっては年齢や性別、職業などの属性情報も取得でき、「どのような属性を持った人が、どのくらいの数、いつ、どこを、どう移動したのか」がわかります。リアルタイムに近い形でデータを取得できるため、時間帯ごとの人流や、特定のイベントが与える影響などを迅速に把握し、必要な対策を講じることが可能になります。
人流データをまちづくりに活用するメリット
近年、データを活用したまちづくりが進む中で、人流データは注目されています。ここでは、まちづくりに人流データを活用する、主なメリットについて見ていきましょう。
街の最新の実態を把握できる
従来のまちづくりにおける調査は、5~10年単位で実施されるのが一般的でした。
例えば、交通量調査などでは、企画からデータの集計・分析までに数ヵ月を要し、調査結果が公表される頃には、すでに状況が変わっているケースも少なくありませんでした。
人流データを活用すれば、こうした課題を解決できます。スマートフォンのGPSやWi-Fi接続情報などから取得する人流データを通して、ほぼリアルタイムで地域の人の流れの把握が可能です。これにより、迅速な意思決定やタイムリーな施策の実施が可能になります。
ピンポイントで街の状況を把握できる
人流データを活用することで、必要な情報をピンポイントで収集できる点もメリットのひとつです。
従来の統計調査では、データの最小単位が町丁目や特定ゾーンに限定されるケースが多く、より細かい地域単位での状況把握が難しいという課題がありました。
しかし、スマートフォンのGPSデータなどから取得した人流データを活用すれば、通りレベルや街区レベルで人の動きを把握することが可能になります。特定エリアの混雑状況や人の流れを詳細に分析でき、エリアの特性に応じた施策を立案できるようになるでしょう。
街の変化を比較・分析できる
人流データを継続的に蓄積することで、街の変化を比較・分析できる点もメリットです。
過去と現在の人流データを比較すると、人が集まるエリアの変化や、人の流れの移り変わりを可視化できます。
なお、街は少しずつ変化していくものですが、わずかな変化には気づきにくいこともあります。しかし、年単位で人流データを分析すれば、これまで見えなかった長期的なトレンドが明らかになることもあるでしょう。
人流データを活用することで、街の変化を正しく捉え、持続可能なまちづくりにつなげることができます。
人流データの活用方法
人流データは、道路の修繕や商圏分析、公共交通機関の改善など、さまざまな分野での活用が期待されています。ここからは、人流データの活用方法をご紹介します。
道路の修繕
人流データは、道路の修繕工事の優先順位を判断する際に活用できます。
人通りの多いエリアでは、歩行者や車両の通行による摩耗で道路が傷みやすく、修繕の優先度が高くなります。街区や通りレベルで人流データを把握すれば、特に傷みやすい道路を特定できるでしょう。
商圏分析
人流データは、住民基本台帳と組み合わせて、商業施設の商圏分析に役立てることも可能です。
まず、住民基本台帳の住所データを地図上に表示し、立地候補エリアの人口構成を把握します。この情報をもとに、最適な立地を絞り込んでいきます。
さらに、人流データを活用することで、単に「商業施設の立地候補から半径◯km以内」といった範囲での商圏設定ではなく、実際に商業施設を訪れる可能性が高い人の居住エリアを特定し、より精度の高い商圏設定が可能です。
これにより、商圏内でのOOH広告(屋外における広告全般)の掲出や、商圏内に住む人に向けたデジタル広告の配信など、商圏を絞った施策を行う際の無駄を減らし、費用対効果を高めることができるでしょう。
公共交通機関の改善
人流データを活用することで地域内の移動実態をより正確に把握でき、バス路線の再編など公共交通機関の改善にも役立ちます。
スマートフォンのGPSなどから取得した人流データは、取得間隔が細かく、人や車両の流れを線で視覚化できます。
10秒前後との短い間隔で位置情報を取得するジオテクノロジーズの高精度な人流データを使用すれば、移動速度や道路ネットワーク、鉄道ネットワークをもとに徒歩・電車・車などの移動手段を特定でき、より正確な移動実態の把握が可能です。これにより、車や人の 移動量が少ないエリアではバスの本数を減らし、反対に移動量が多いエリアでは本数を増やすなど、データにもとづいた最適な改善ができます。
なお、従来のパーソントリップ調査(人々の移動目的や経路などを把握するためのアンケートによる調査)では、休日が調査対象に含まれていないケースが多く、移動実態を網羅的に把握するのが難しいという課題がありました。しかし、人流データを活用すれば、平日・休日問わず、データ収集が可能となります。
交通事故の防止
人流データは、交通事故のリスクが高い場所を特定し、優先的に対策を行うためにも活用できます。特に、事故が発生しやすい交差点の危険度を分析し、リスク低減に役立てることが可能です。
従来の交通量調査は、調査員の配置やトラフィックカウンターによる計測が必要で、調査範囲が限られていました。人流データを活用すれば、小規模な道路の交差点まで、網羅的かつ効率的にリスクを把握することが可能です。
また、ジオテクノロジーズでは、人流データとAIを組み合わせて、交差点のリスクを推定するモデルを開発しています。あらゆる交差点のリスクを評価することで、「まだ事故は発生していないが危険性の高い場所」に先手を打った対策を行えます。
観光の最適化
人流データを活用して観光客の移動実態を把握すれば、観光施策の最適化も可能です。観光客がどのルートをたどり、どのエリアに多く訪れているのかを分析することで、効果的な施策を検討できるからです。
例えば、観光客が訪問前に立ち寄る場所や観光地内の周遊状況を把握し、それにもとづいて観光地のアクセスを改善するといった取り組みが考えられます。
また、ジオテクノロジーズのポイ活アプリ「トリマ」を利用するアンケートモニター600万人にアンケートができるサービス「Geo-Research(ジオリサーチ)」 を活用すれば、位置情報をもとに特定の観光地を訪れたことがある人 を対象としたアンケートが可能です。
アンケート結果を分析することで、観光客のニーズを把握し、観光地の改善や新たな施策の検討につなげられるでしょう。
公共施設の改善
属性を持った人流データを使って、公園や駅前広場といった公共施設の利用状況・利用者の属性を分析すれば、施設の活用促進やリニューアルの検討に役立てることも可能です。
例えば、ある公園で平日の昼間に高齢者の利用が多いことがわかれば、ベンチや日よけを増やし、より快適に過ごせる環境を整えるといった施策が考えられます。
また、駅前広場における市民の滞在時間が短い場合は、休憩スペースを増やしたり、イベントを開催したりすることで、より多くの人が集まりやすい環境を作れるでしょう。
災害対策
人流データは、災害対策にも活用できる可能性があります。例えば、災害発生時に、帰宅困難者がどの程度発生するかを時間帯や曜日ごとに推定し、適切な対策を講じることが可能です。
また、実際に災害が発生した際に、人流データを使って住民の避難状況をほぼリアルタイムで把握し、迅速な支援に役立てられる可能性もあります。
人流データを活用したまちづくりの事例
実際に人流データは、まちづくりにどのように活用されているのでしょうか。ここでは、長岡花火財団様と愛知大学様の事例をご紹介します。
一般財団法人 長岡花火財団様:長岡花火における来場者の実態や今後の課題が明らかに
一般財団法人長岡花火財団様は、2023年8月に4年ぶりの通常開催となった「長岡まつり大花火大会」(以下、長岡花火)において、ジオテクノロジーズの人流データを活用した来場者分析を実施しました。人流データと、位置情報をもとに抽出した花火大会の参加者へのアンケート結果を組み合わせることで、来場者の実態や今後の課題が明らかになりました。
人流解析の結果、来場者の約半数が新潟県内から、そして30%強が関東地方から訪れていることが判明。また、宿泊客の57.4%が「長岡花火を初めて見た」と回答しており、本大会が新規の観光客を呼び込むイベントとしての役割を果たしていることがわかりました。
一方、アンケート結果では、長岡花火公式アプリの認知度が課題として浮上。来場者のうちアプリを「知っていて、インストールした」と回答したのは約20%にとどまる一方、利用者の満足度は80%を超えており、利便性が高く評価されていました。今後、公式サイトなどを通じた周知の強化が求められます。
ジオテクノロジーズの人流データとアンケートサービスを活用することで、単なる来場者数の把握にとどまらず、来場者の居住地や宿泊状況、イベントへの評価、改善点などを可視化できた事例です。
出典:ジオテクノロジーズ株式会社「ジオテクノロジーズ、「長岡花火2023の来場者にアンケート」を実施」
学校法人 愛知大学様:イベント・祭礼が地域に与える影響を分析することに成功
愛知大学様では、地域のイベントや祭礼に関する研究を行っています。
従来は祭礼の形態や意味、運用・継承の仕組みなどが主な研究対象でしたが、新たな視点として、ジオテクノロジーズの人流データを活用し、参加者の行動や属性に焦点を当てた分析を実施しました。
その対象となったのが、「とよはし都市型アートイベントsebone」「犬山祭」「豊橋祇園祭」などの地域イベントや祭礼です。
この研究により、各イベント・祭礼における参加者やその時間的変化、会場内での行動パターン、居住地の分布などを空間的に把握できるようになり、地域に与える影響を客観的に分析することが可能となりました。
また、従来は会場でのアンケートを通じて参加者の属性や来訪元を把握していましたが、人流データを活用することで、より多くの参加者情報を効率的に収集し、分析できるようになりました。
今後は、このデータを活用し、イベント・祭礼時の混雑緩和や運営改善につなげる研究をさらに進めていく予定です。
出典:ジオテクノロジーズ株式会社「「人流データ」の活用により、来場者の行動や人の動きの空間特性を客観的かつ効率的に把握することが可能に!」
人流データを活用して効率的なまちづくりを実現しよう
人流データを活用することで、地域の課題を迅速かつ的確に把握し、それにもとづいた施策を立案できます。より効率的なまちづくりを目指すために、人流データの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
ジオテクノロジーズでは、さまざまな行動分析を可能にする、高密度かつ短い間隔で取得した連続的な人流データを提供しています。しかも、この人流データは属性情報も含んでいるため、「どのような属性を持った人が、どのくらいの数、いつ、どこを、どう移動したのか」を、ほぼリアルタイムで把握でき、位置情報にもとづいて抽出したターゲットにアンケートを行うことも可能です。
さらに、ジオテクノロジーズが提供するアプリ「GeoQuest(ジオクエ)」を活用すれば、特定のエリアにおけるといった、街に関するあらゆる画像データを効率的に収集可能です。
アプリのユーザーが街中の「クエスト(調査対象)」を撮影するとポイントが付与され、事業者側には画像データが提供される仕組みで、時間やコストがかかるまちづくりに関する調査を効率化できます。
まちづくりに注力したい自治体や事業者の担当者様は、ぜひジオテクノロジーズにご相談ください。
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