【トラックドライバー不足の救世主】TMS(輸配送管理システム)とは?TMSの機能やメリットをご紹介します。
物流業界では、2024年4月に導入された残業時間の上限規制などによる「2024年問題」への対応が喫緊の問題となっており、配送の効率化が急務となっています。そうした背景のもと物流の効率化を目指し、さまざまな物流システムが開発されています。
今回は、物流の効率化をはかるためのTMS(輸配送管理システム)について、道路ネットワークデータ、最高速度データ、料金データ、キロポストデータなど、物流システムに導入可能なデータを自社で整備・保有するMapFanが、その機能やメリットについて詳しく説明します。
物流業界では、2024年4月に導入された残業時間の上限規制などによる「2024年問題」への対応が喫緊の問題となっており、配送の効率化が急務となっています。そうした背景のもと物流の効率化を目指し、さまざまな物流システムが開発されています。
今回は、物流の効率化をはかるためのTMS(輸配送管理システム)について、道路ネットワークデータ、最高速度データ、料金データ、キロポストデータなど、物流システムに導入可能なデータを自社で整備・保有するMapFanが、その機能やメリットについて詳しく説明します。
TMS(輸配送管理システム)とは?
TMS(輸配送管理システム)は、「Transport Management System」の略称で、配車計画から配送進捗の管理、運転日報の作成まで、配送に関わる各工程を統合的に管理・効率化するシステムを指します。
TMSには「配車管理」「動態管理」「コスト管理」の3つの主要な機能があり、これらを活用することで、車両費や人件費の削減、積載効率の向上など、物流業務の課題を解決することが可能です。
従来は業務ごとに個別のシステムを導入して効率化を図る方法が一般的でしたが、複数の機能をオプションとして追加できる拡張性の高いシステムも登場し1つのシステムで複数の業務をカバーできるようになってきています。
TMS(輸配送管理システム)の主な3つの機能
1 配車管理
荷物を運送会社や車両に割り当てる配車業務を支援する機能です。TMSは、荷物の輸送に適した運送会社やトラックの種類、輸送温度帯、輸送モード(貸切・混載)などを自動的に選定します。
最適な配送計画を立てるためには、納品場所、時間帯、待機時間、納品方法などのさまざまな条件と空きトラックの情報を組み合わせる必要があります。しかし、これをツールなしに実現するのは、あまりにも多くのことを考慮する必要があり、至難の業といえるでしょう。
そこでTMSを活用すれば、稼働可能な車両やドライバーを登録することで、配送順序やルート、荷物の予定到着時刻を効率的に算出することが可能になります。
また、一部のシステムでは、自動配車機能や自動積み付け機能も搭載されており、輸送効率を更に改善することができます。
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2 貨物の追跡機能(動態管理機能)
荷物の輸送状況をリアルタイムで追跡する機能です。輸送中には「中継」や「配達」などの重要なイベントが発生しますが、トラックがこれらのイベントを経て「配達完了」に至るまでの進捗を監視することで、トラブルが発生した際に遅延が拡大しないよう、迅速に対処することが可能になります。
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例えば、予期しない配送トラブルが発生した際のフォローや事故や渋滞に巻き込まれた際の代替ルート指示などを行う際には、リアルタイムで車両の位置を把握できる動態管理機能が役立ちます。
動態管理機能を使うことで、ナビゲーションやスマートフォンなどの端末を通じて車両のリアルタイム情報を取得し
・車両位置の確認
・作業進捗の把握
が可能になります。
また、これらの車両情報を利用して
・ドライバーの運転日報の自動化
・走行履歴による安全管理やエコドライブの推進
などが可能になり、ドライバーの業務効率改善や安全運転の向上につながります。
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3 コスト管理
TMSでは、各トラックの走行距離や消費燃料などの経費を管理することができます。
配送費用は、地域ごとの運賃表を基に運送距離や運送時間、休日割増や冬季割増など、追加で発生する費用を考慮して計算する必要があります。
これらの条件をもとに配送費用を自動で算出するのがコスト管理機能です。
さらに、自動算出された配送費用をもとに荷主への請求書を発行するなどの経理処理が可能な機能が備わっているシステムであれば、コスト管理の一貫性の向上に加え管理スタッフの作業時間も削減も可能になります。
TMS(輸配送管理システム)導入の4つのメリット
1 配車業務の標準化
配車業務は配送先、積み荷の内容、到着予定時刻など、さまざまな情報を把握しながら、適切な運搬車両を割り当て最適な配送ルートを作成する業務です。配車業務は輸配送業務を効率的かつ安全に行うことが求められます。配車業務を通じて作成される具体的な計画が配車・配送計画です。
配車・配送計画は、その日の荷物を配送先にどの車両でどのルートを利用すれば最も効率的に配送できるかを考えて配送ルートを決定することが重要です。また、顧客への配送を完了するまでのプロセスを管理し、配送予定を可視化する役割も担います。
配車・配送計画の立案には、配送エリアの状況、リアルタイムで変動する道路交通情報、車両条件、ドライバーのコンディション、積み荷の情報、運行コストなど、複数の要素を集約し、その中から最適な組み合わせを選択することが必要です。
TMSを活用すれば、様々な条件を考慮した配車・配送計画を自動で作成してくれ、ドライバーに対し的確な配車・配送指示をスムーズに行うことが可能となります。
物流の現場では配送業務はベテラン担当者の経験や勘に頼ることが多く、属人化しやすい傾向があります。TMSを導入すればベテランのノウハウを標準化しシステムに組み込むことができます。これにより、配車担当者が交代しても精度の高い配車・配送計画の作成が可能となり、配車・配送計画の標準化を図ることができます。
配車業務は、配送先や積み荷、到着予定時刻など多岐にわたる情報を把握し、適切な運搬車両を割り当てて最適な配送ルートを作成する複雑な業務ですが、考慮することはそれだけではありません。リアルタイムの交通情報や車両条件、ドライバーの体調、運行コストなども考慮することが大切ですし、何より、輸配送業務を効率的かつ安全に行うことが求められます。
このように配送業務は複雑な業務のため、経験や勘に頼る部分が多く、属人化しやすいという課題があります。
こうした課題を解決するのがTMSです。TMSを活用することで、様々な条件を自動的に考慮して配車・配送計画の作成が可能になります。また、ドライバーへの指示もシステムを通じてスムーズに行えます。
また、ベテラン担当者のノウハウを標準化してシステムに組み込むことできますので、担当者が変わっても高い精度で計画を立てることが可能で、業務の効率化と標準化、そして継続性を実現します。
2 配送状況の可視化による効率化
TMSを利用すると、ドライバーの稼働状況に加え、荷物の配送状況も可視化することが可能です。
お客様から「いつ到着するのか」といった問い合わせがあった際に、都度ドライバーに電話などで連絡をとって確認を取る手段では時間がかかり非効率です。
TMSの追跡機能を利用し、配送状況をリアルタイムで把握できれば、荷主や荷受人からの問い合わせにも迅速に回答できます。
また、逐一ドライバーに確認する必要がなくなるため、業務効率の向上につながります。
3 積載率の向上
TMSを活用することで、精度の高い配車計画が可能となり、積載率の向上が期待できます。
物流現場、特に貸切便や長距離輸送を担うドライバーの人手不足は深刻化しており、積載率を向上させてトラックを効率的に活用することは、運送事業者はもちろん、荷主企業にとっても大きなメリットとなります。
また、トラック輸送の効率化はCO2の排出量抑制にもつながるため、環境への配慮にも貢献します。
4 輸配送コストの削減
配送には、車両の燃費、高速道路などの有料道路の料金、ドライバーの賃金といったさまざまなコストが発生します。コストの計算は複雑ですが適切に把握しないと利益が出せないため、ないがしろにもできません。
TMSを活用すれば、物流にかかる費用を自動計算し数値化され、各部署でデータを共有することが可能になります。このデータを基にコスト削減を図ることができるようになります。
さらに、集計・管理されたデータを活用して、人員配置やトラックの配車を最適化することも可能です。
また、同じ業務を行う従業員の作業量や勤務時間を均一化することで、個々の残業時間を削減でき、人件費の削減や人材の定着率向上にもつながることが期待されます。
TMS導入に際しては、従来のやり方を変えたくない人や、自分の仕事が奪われるのではないかと不安に感じる従業員からの反発があるかもしれません。TMSをスムーズに導入するために、「効率が向上して同じ時間内により多くの荷物を運べるようになれば給与のアップにつながる」「業務が他の人でも対応可能になることで休暇が取りやすくなる」など、導入による従業員のメリットを伝え、前向きな説明を行うことも忘れないようにしましょう。
物流業界の現状:物流2024年問題
改めて「2024年問題」をおさらいしておきましょう。
長年にわたり、トラックドライバーは長時間労働を強いられてきました。特に、近年のネット通販の普及によって宅配便の荷物が急増し、長時間労働が避けられない状況が続いています。トラックドライバーの健康を守るため、2024年4月1日より働き方改革関連法が物流業界にも適用され、トラックドライバーの年間時間外労働時間に上限が設けられることになりました。
トラックドライバーの年間時間外労働時間に上限が設けられると、1人のドライバーが1日に運べる荷物の量が減少し、結果として物流会社の収益も減る可能性があります。また、ドライバー側から見ると、労働時間が短縮され健康負荷が軽減される一方で、残業代の減少により収入が減ってしまうという問題も生じます。
トラックドライバーの収入が減少すると、トラックドライバーという職業の魅力が低下し、ドライバーが職業から離れてしまうリスクが高まります。結果、残業の制限により1人あたりの配送量が減少するうえ、ドライバーの離職が進み、ドライバー不足問題が一層深刻化する懸念があります。トラックドライバー不足が深刻化すると、すべての荷物を運ぶことが難しくなる可能性があります。
これが「物流2024年問題」で懸念されている問題です。
物流業界の現場の課題
・配車業務の属人化の解消(標準化)が必要
配車業務では、複雑に絡み合う複数の情報を把握し、最適な組み合わせを選んで計画を立てる必要があります。前述のとおり配車業務は長年配車業務に携わっているベテラン担当者が行うことが多いのが実情です。言い換えれば、配車・配送計画の作成は特定の人に依存し、属人化しがちな業務となっています。
このような状況は、事業の継続性を妨げる要因となり、業務プロセスの見直しや無駄な作業の削減にも取り組みにくい環境を生み出しています。そのため、TMSなどを導入し配車・配送業務を可視化、標準化して誰でも対応できる業務にしていくことが求められています。
・長時間労働の改善が必要
運輸業界では長時間労働が問題となっています。これは複数の原因が複雑に絡み合っているためですが、例えば、商品のピッキング作業の遅れや荷降ろし時間の長期化により、ドライバーに待ち時間が発生するケースなどが挙げられます。輸配送全体の工数が多ければ多いほど、長時間労働につながる可能性は高くなります。そのため、順荷積み作業などを考慮した効率的な配送順の作成など、各工程を改善し、長時間労働の問題解決を図ることが求められます。
まとめ
今回は物流業界の現場の課題とTMS(輸配送管理システム)の機能やメリットを紹介してきました。
物流業界の現場の課題解決のためには、TMS(輸配送システム)の構築が重要になります。
ジオテクノロジーズではTMS(輸配送システム)構築のための地図データ(MapFan DB)や地図API(MapFan API)を用意しております。
興味のある方は是非お問い合わせください。
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とはいってもTMS導入にはコストがかかります。一気に導入は難しいという方も多いと思います。
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