「道路ネットワークデータ」とは?―ルート検索にかかせない道路ネットワークデータの今と未来。
私たちが普段何気なく使用しているデジタル地図。このデジタル地図は私たちに見えない情報や、私たちが気づかないような情報を取り扱っていることはご存知でしょうか?
紙地図では目に映っているデータが全てですが、デジタル地図は違います。道路ひとつとってみても、速度規制、一方通行、進入禁止など数多くの規制データが埋まっています。現地に行かないと分からない情報も多くあります。こうした大量のデータを整備していくことで、ルート検索など普通に使っている機能がやっとデジタル地図上で機能するのです。
関連記事 燃費・電費シミュレーションなどに利用される「道路標高データ」はこちら>
今回はデジタル地図を作成するために重要な道路ネットワークデータについて取材を行いました。実際にデジタル地図の整備を行っているジオテクノロジーズ東北開発センターの、鈴木さん、渡邊さんにお話を伺いました。
私たちが普段何気なく使用しているデジタル地図。このデジタル地図は私たちに見えない情報や、私たちが気づかないような情報を取り扱っていることはご存知でしょうか?
紙地図では目に映っているデータが全てですが、デジタル地図は違います。道路ひとつとってみても、速度規制、一方通行、進入禁止など数多くの規制データが埋まっています。現地に行かないと分からない情報も多くあります。こうした大量のデータを整備していくことで、ルート検索など普通に使っている機能がやっとデジタル地図上で機能するのです。
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今回はデジタル地図を作成するために重要な道路ネットワークデータについて取材を行いました。実際にデジタル地図の整備を行っているジオテクノロジーズ東北開発センターの、鈴木さん、渡邊さんにお話を伺いました。
道路ネットワークデータとは?
道路ネットワークデータとはどのようなものでしょうか?
―道路ネットワークデータは点(道路ノード)と線(道路リンク)で構成されたデータで、主にナビゲーション向けのデータになっています。目に見える地図というよりも、地図を使う際、ルート検索のために使う規制のデータや交差点のデータ、そうしたものを全て含めて道路ネットワークデータと呼んでいます。
道路ネットワークデータはなぜルート検索に必要なデータなのでしょうか?
―カーナビやスマートフォンでルート検索してみると分かりやすいと思うのですが、例えば一方通行や右左折禁止といったデータが入っていないと、通ってはいけないルートを案内する可能性があります。そのため道路ネットワークデータを整備することがルート検索にとって最も重要です。
さらに、通れるか通れないかということに加えて、通りやすい道路を優先的に案内できるよう、ジオテクノロジーズでは国道や県道といった現実での道路種別に加えて、ルート検索用のランク付けを行っています。デジタル地図サービスを使っていると、せまく走りづらい道路を案内されることってよくありますよね。そんな問題を解決するためにもジオテクノロジーズではルート検索用のランク付けによって、よりルートを適正化できることを強みとしています。例えば、近所のルートであれば最短ルートでいきたいこともありますよね。そうした様々な条件を加味して適したルート検索を可能にするためにもたくさんの情報を道路ネットワークデータに整備することが大切になってきます。
このランク付けを利用することによって、ナビゲーションソフトが安全重視なら幅広い道路を優先、緊急度が高い場合は最短距離などのルート検索を実現できるようになります。
道路ネットワークデータの基本構成
道路ネットワークデータは様々な種類のデータを入れることができるようですが、地図上ではどう表現するのでしょうか?
―まず背景素材をデータ編集画面上に重ねて表示し、道路の敷地の中心をトレースして形状を作ります。
次に、構造物によって物理的に上下線が分かれている場合は、上下線それぞれ1本ずつ、合わせて2本の線で表現するようにします(2条道路)。上下線が分離していない場合や、白線のセンターラインのみ、という場合は1本の線で表します(1条道路)。このように現地の構造に合わせて道路ネットワーク形状を作成することで、ナビゲーション誘導時のより正確な自車位置表示と、より正確なルート検索が可能となります。
道路ネットワークデータには、どのようなデータが入っているのでしょうか?
―道路リンク(線)に対しては国道や県道といった道路種別をはじめとし、規制・幅員・車線数等々。道路ノード(点)に対しては信号機の有無や交差点名称といったデータを整備しています。また分岐地点では進行方向にあわせて方面案内やレーン情報のデータも整備しています。さらには、トンネルや踏切といった構造物の情報、一時停止や警戒標識といった標識情報など、道路ネットワークデータには様々なデータが含まれています。
右左折禁止などのデータをはじめ、道路ネットワークデータは間違いがあってはいけないデータだと感じました。どのようにして間違いをなくす工夫をしているのでしょうか?
―例えば規制の情報は、必ず現地の調査をもとにデータへ反映するようにしています。さらに、不確かな情報を整備することがないよう、オペレータによる目視チェック、1000項目ほどある機械的な論理チェックも行っています。それらを全てクリアすることでデータが出来上がります。
また現地の経年変化を見つけるために定期的に道路の走行調査を行って画像データを収集しています。走行画像に対して画像認識処理させることで膨大な画像のなかから特定の標識の画像を機械的に抽出することが可能になります。ここ数年、画像認識処理は深層学習を取り入れることでより確実に、より効率的にデータ整備できるようになってきています。
道路ネットワークデータの活用とその未来
多くのデータを整備しているということで、これまでの地図のあり方を超えた様々な用途がありそうに感じました。例えば道路ネットワークデータはルート検索で必ず必要なデータだと思いますが、今後どのように活用されていくのでしょうか?
ー自動運転に近づいていくステップ、ADAS(先進運転支援システム)の実現に向けて、ドライバーの支援をするための機能が増えています。すでに実装されているものとしては一時停止のデータを使い、一時停止の標識に差し掛かる時にドライバーに対して事前の注意喚起を行うといった使い方もされています。さらに規制データに関していうと、速度を超過した際に注意喚起をするという使い方もされています。
大型車規制についても、コロナの影響で輸送の需要が高まっています。場所によっては、危険物積載車両は通ってはいけないという規制があります。またアンダーパスの高さ規制によって通ることができない場合もあります。このような場合に規制が整備できていないと立ち往生してしまいます。そんなことが起きないように、車種別規制、高さ、幅、重量、危険物、トラック、バス、といった道路特有の規制データの整備を進めています。
これまではアンダーパスやトンネルなどを中心に整備を行ってきましたが、今年からは大型車規制標識がある場所については網羅的に整備をはじめました。需要の高さから、今後はさらに整備範囲を広げていく予定です。標識の情報を入力することで、現地により適した輸送車両向けルート案内が実現できます。
将来に向けて道路ネットワークデータの新しい使い方はありますか?
ー最近はカーナビでデジタル地図を使うことはもちろん、スマートフォンでもデジタル地図を使うことが増えてきました。そうなると車での移動のためのナビゲーションにプラスして車から降りた後、歩いて目的地まで行くためのナビゲーション、その2つを組み合わせたルート検索/ナビゲーションが新しい使い方だと思います。ジオテクノロジーズ(旧インクリメントP)では、「カーナビ向け」の道路ネットワークデータと「歩行者向け」の歩行者ネットワークデータの2種類を整備しており、その2つを組み合わせることで、目的地までドアツードアのルート検索・ナビゲーションが実現できます。
最後にお伝えしたいことなどありましたらお願いします。
道路ネットワークデータの整備は本当に大変です。新しくできる道路は図面から形状をとったり、図面を読み解いたりする必要があります。また、規制の標識を整備する場合でも場所によっては解読困難な変わった規制標識もあり、様々なパターンがあるためデータ整備するのは大変苦労します。走行調査車が撮影した走行画像を調べると、事前に入手した図面にはない新しい道路ができたりすることもあります。図面だけからはわからないことが多く、特にどのような標識情報(方面看板や規制標識)があるかは実際に走行画像がないとわかりません。最後に車で走行調査することでやっと完成します。とはいえ、日々様々な道路や標識との出会いにより新しい発見も多く、大変な中にも楽しさも多くあります。
私たちは様々な面から分析、読み解き、現地情報も確認し、様々なデータを入力し道路ネットワークデータを作っています。単に道路リンクを線にするのではなく、現地の交差点、レーン、現地に合わせた適切な案内の仕方ができる。そこがジオテクノロジーズ(旧インクリメントP)のデジタル地図の強みです。使い方次第でいくらでも魅力的なものになります。デジタル地図の作り手としてジオテクノロジーズ(旧インクリメントP)の地図の良いところ強みを皆さんに知っていただきたいです。
今回の取材を通して、道路ネットワークデータの今後の可能性をあらためて再認識することができました。身近なところでいうとルート検索・ナビゲーション機能への利用でしょう。さらに適正化されたルート案内の実現をはじめ、規制データによる注意喚起、自動運転への応用。様々な用途が考えられます。また、歩行者向けの道路ネットワークデータの整備が進むと、駅構内のバリアフリー化されている場所が容易に分かるかもしれません。そうなれば高齢者や障がいを持つ方にもやさしいノーマライゼーション社会の実現にも役立ちます。
このように様々な可能性も持つ道路ネットワークデータですが、その整備には大変な苦労があることにも気づかされました。データの整備という地道な作業が私たちの生活の一部を支え、未来をより良いものにしていく。そのためにもインクリメントPではデータ整備を一歩一歩丁寧に行っています。次回の記事では道路ネットワークデータに実際に埋め込まれているデータにはどのようなものがあるのか具体的に紹介します。
今回はジオテクノロジーズ(旧インクリメントP)の道路ネットワークデータについて特集しました。全国の全ての道路を網羅した走行画像を整備した道路ネットワークデータが貴社のお役に立てるかもしれません。こんなものが確認できないか教えてほしいなどありましたらぜひ一度、お問い合わせください。
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