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2024.10.22

いまさら聞けない、なぜ大型トラックの高速最高速度が時速90kmに引き上げられたのか?MapFanが簡単に説明します。

高速道路を活用した配送は、一般道に比べスピードを出して短時間で移動できるため、物流業界において効率化を図る上で非常に重要です。
特に、2024年に残業規制が導入され、2024年問題に直面する物流業界にとって、配送時間を短縮できる高速道路活用の重要性はますます高まっています。
そんな中、2024年4月から中型および大型トラックの高速道路における最高速度が引き上げられました。
今回の記事では、なぜそのような措置が取られたのか、どのようなメリットがあるのかなどについて、高速道路の道路ネットワークデータ、最高速度データ、料金データ、キロポストデータなどを保有するMapFanが詳しくわかりやすく解説します。

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いまさら聞けない、なぜ大型トラックの高速最高速度が時速90kmに引き上げられたのか?MapFanが簡単に説明します。

高速道路の制限速度は?

そもそも高速道路の制限速度に関して振り返ってみましょう。
高速道路の本線車道では、速度制限が指定されていない区間では、一般乗用車の最高速度は100km/hです。また、最低速度も50km/hと定められており、50km/h以下での走行は避けなければいけません。

高速道路に標識などで最高速度が表示されている場合は、表示されている速度がその区間の最高速度となります。例えば、標識や表示で最高速度が80km/hとされている場合、80km/hを超えないように運転しなければなりません。

つまり、最高速度表示がない区間では最高速度は100km/hですが、最高速度が表示されている場合には、その表示された速度が最高速度となります。

まとめると、最高速度の表示がない区間における車種別の最高速度は下記の通りです。
① 大型乗用車、特定中型貨物自動車以外の中型自動車、普通自動車(三輪車を除く)、大型自動二輪車、普通自動二輪車は最高速度100km/h。
② 上記以外の車両は最高速度80km/h。
③ 他の車両を牽引している場合、最高速度は80km/h。

中大型トラックの最高速度引き上げについて

中型および大型トラックは前述の車種の②に該当するため、これまでは最高速度が80km/hに制限されていました。しかし、2024年2月27日に中型・大型トラック(車両総重量8トン以上)の最高速度を90kmに引き上げる政令案が閣議決定され、4月1日より施行されました。

この改正の背景には、2023年12月22日に警察庁の有識者検討会で、大型トラックの高速道路における最高速度を現行の時速80kmから90kmに引き上げても問題がないとの結論を出したことが、今回の速度規制の変更につながっています。1963年に高速道路が開通して以来、大型トラックの速度規制が変更されるのはこれが初めてのことです。

では、なぜ60年以上変更されなかった速度規制が今回引き上げられたのでしょうか?
ここで、最高速度が引き上げられた背景や、最高速度・法定速度・制限速度の違い、さらには高速道路における車種別の最高速度について詳しく解説します。

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●今回の最高速度引き上げ対象の車種

【8トン以上の中型トラック】
中型トラックは、全長12m、全幅2.5m、全高3.8m以下で、車両総重量が5トン以上11トン未満、最大積載量6.5トン以内の車両を指します。

今回の速度引き上げ対象となるのは、車両総重量が8トン以上の中型トラックです。
この8トン以上という条件が設定されている理由は、速度抑制装置(スピードリミッター)の取り付け対象が、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の車両に限られているためです。したがって、中型トラックで速度抑制装置が装着されている場合に今回の最高速度引き上げの対象となります。

 

【大型貨物自動車(大型トラック)】
大型貨物自動車は、全長12m、全幅2.5m、全高3.8m以下で、車両総重量が11トン以上、最大積載量が6.5トン以上のトラックを指します。大型トラックは物流の重要な役割を果たし、大量の荷物を輸送する際に利用されます。

今回の法改正で最高速度が引き上げられた大型トラックですが、もともとはトラック事故防止のために、他の車種よりも低い80km/hに速度が制限されていました。速度を抑制するために、2003年から国土交通省によって大型トラックには速度抑制装置の装着が義務付けられています。

今回の法改正で最高速度が90km/hに引き上げられましたが、速度抑制装置の装着義務は継続されています。そのため、最高速度を引き上げたとしても、大きな影響はないと判断され、最高速度の引き上げに至ったのです。
※トレーラーは今回の高速道路の最高速引き上げの対象外です

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最高速度の引き上げの陰にある物流2024年問題

中型・大型トラックの最高速度引き上げが改正された背景には、物流2024年問題が大きく関わっています。物流2024年問題とは、2024年4月1日からトラックドライバーの時間外労働に対して年間960時間の上限規制や改正改善基準告示が適用され、輸送能力が大幅に低下することが懸念されている問題です。

国が実施した「持続可能な物流の実現に向けた検討会」では、事業者が労働時間削減に向けた具体的な対策を取らなかった場合、2024年度には輸送能力が14.2%減少し、2030年度には34.1%も低下するという予測が出されています。

この物流2024年問題の解決策のひとつとして、高速道路における中型・大型トラックの最高速度引き上げが検討されました。最高速度を引き上げることで、配送の効率化を図り、物流2024年問題の緩和を目指すという考え方です。

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中大型トラックの最高速度引き上げによるメリット

最高速度が引き上げられることで得られるメリットとして、まず荷物の配送にかかる時間がこれまでより短縮され、業務の効率化が進む点が挙げられます。配送時間が短縮されることで、ドライバーの長時間労働の改善にもつながる可能性があります。

さらに、最高速度の引き上げによって、乗用車との速度差が縮小することで、事故の発生リスクが減ることも期待されています。高速道路では、追い越しが原因となる事故が少なくないため、速度差の減少は安全性向上に寄与すると考えられます。

実際、2000年に軽自動車や自動二輪車の最高速度が80km/hから100km/hに引き上げられた背景にも、普通車と同じ速度に合わせることで、追い越しや追い越される際の事故リスクを減らすという目的がありました。
このように、中型・大型トラックの最高速度引き上げも同様に、速度差が縮小されることで、安全面での効果が期待されています。

そもそも高速道路とは?

最後に今回のテーマである高速道路に関しても改めておさらいしましょう。
高速道路とは、車両が高速で安全に走行できるように設計された自動車専用の道路を指し、高速自動車国道と自動車専用道路の2種類に分類されます。

高速自動車国道は、高速自動車国道法において「全国的な自動車交通網の重要な部分を構成する」と定義されており、都道府県を跨いで日本全国に広がる高速道路ネットワークの一部を形成しています。2022年3月31日時点で、この高速道路網の実延長は9,100.1kmに達しています。

参考:国土交通省 高速自動車国道実延長

高速自動車国道の主な特徴は次の通りです。
・国道である
・一般道路からはインターチェンジを介して出入りする
・立体交差による交通の流れが確保されている
・中央分離帯が設置されている
・サービスエリアやパーキングエリアが備わっている

高速道路(高速自動車国道)と名がつくのは4つだけ

高速道路(高速自動車国道)は○○高速道路や○○自動車道といった名称が付けられていますが、実際に高速道路と名のつく高速道路は、東名高速道路・新東名高速道路・名神高速道路・新名神高速道路の4路線だけです。

ただし、これら4路線も正式な名称ではなく、法定路線名は下記のような名称となっています。
・東名高速道路=第一東海自動車道
・新東名高速道路=第二東海自動車道 横浜名古屋線
・名神高速道路=中央自動車道 西宮線
・新名神高速道路=近畿自動車道 名古屋神戸線

このように、どの路線も正式名称は○○自動車道です。それでは、なぜ東名高速や名神高速は高速道路と呼ばれるようになったのでしょうか?

その理由は歴史的背景にあります。名神高速道路が全線開通したのは1965年、東名高速道路は1969年に開通しました。これらは日本初の高速道路として大きな注目を集め、東名高速や名神高速という通称が広く浸透しました。ドライバーにも覚えやすく親しまれたため、例外的に通称が道路標識などにも使用されるようになり、現在に至っています。

自動車専用道路とは?

次に、自動車専用道路について見ていきます。自動車専用道路にはいくつかの種類があり、大きく分けると、国土交通大臣が管理する一般国道自動車専用道路と、都道府県や指定都市が管理する都市高速道路の2つに分けられます。一般国道自動車専用道路は国道に該当し、都市高速道路は都道府県道や市町村道に該当します。

一般国道自動車専用道路は、本州四国連絡道路など全国各地に存在します。一方、都市高速道路は首都高速道路や阪神高速道路などが該当し、これらは東京、名古屋、大阪、広島、北九州、福岡の6つの都市に設置されています。
これらの自動車専用道路は、その名の通り、自動車のみが走行できるように設計された道路です。道路法では、「市街地やその周辺の交通を円滑にすること」や「道路交通による騒音障害の防止」などが、自動車専用道路の主な目的として定められています。

高速道路(高速自動車国道)を通行できない車両

高速道路では最低速度が50km/hに設定されているため、50km/h以上の速度を出せる車両でなければ通行できません。高速道路で通行できない車両は下記の通りです。
・原動機付き自転車
・ミニカー
・総排気量125cc以下の普通自動二輪車
・小型特殊自動車(農業トラクター等)
・けん引車両(けん引装置・被けん引装置のある車両を除く)

 

今回は、中型トラックと大型トラックの高速道路における速度引き上げについておよび高速道路について詳しく説明しました。
高速道路は、物流業界において効率的な配送を実現するための重要なインフラであり、配送時間短縮の要となります。効率的な配送を実現するためには適切な配送システムの構築が欠かせません。
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