高速道路沿いに設置された小さな数字の標識を見かけたことはありませんか。これは「キロポスト」と呼ばれ、高速道路上の位置を示すための目印として使われています。事故や故障などのトラブル時に「◯◯キロポスト付近に停車しています」と伝えると、救援要請がスムーズになるなど、ドライバーにとって覚えておくと役立つ存在です。
キロポストは一般利用者だけでなく、道路管理や物流、防災対応などの現場でも、地点を正確に把握するための基準点として活用されています。今回は、運転をしているときに役立つ使い方に加えて、事業者向けの実務利用シーンについても解説します。ジオテクノロジーズでは、全国の道路を実際に走行調査し高速道路のキロポストデータを整備・保有しています。
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キロポストとは?
高速道路や鉄道に設置されるキロポストとは、その地点が起点から何キロメートル離れているかを示す標識です。たとえば小さな標識に12.6と表示されていれば、起点から12.6キロメートル地点であることを意味します。もともとは距離標と呼ばれるものですが、1キロメートルごとに設置されるケースが多く、そのためキロポスト(Kilometer Post)という呼び方が一般化しました。道路・鉄道インフラでは、この標識が“住所の代わり”として働き、位置を正確に特定するための重要な役割を果たしています。
① 高速道路のキロポストとは?
高速道路に設置されているキロポストは、単なる距離表示ではなく位置情報の基準点として運用されています。道路管理者は補修区間をキロポストで指定し、交通情報や緊急通報においても「◯◯キロポスト付近」と表現されるなど、高速道路に関わる関係者の共通言語として機能しています。
この「起点からの距離」という考え方はすべての高速道路で共通しており、各路線には必ず距離の基準となる起点が設定されています。たとえば、東名高速道路は東京インターチェンジ、東北自動車道は川口ジャンクション、関越自動車道は練馬インターチェンジがそれぞれ起点です。キロポストに12.6と表示されていれば、その道路の起点から12.6km地点にいることを意味します。なお、キロポストの表示には「上り」「下り」の区別はなく、あくまでも起点からの連続した距離によって管理されています。
■ なぜキロポストが設置されているのか
キロポストは、道路や線路上において正確な位置を示す基準点として機能しています。高速道路では、事故や故障が発生した際に「キロポスト○○付近で停止している」と伝えることで、関係機関が迅速かつ正確に現場を特定できます。道路管理や保守作業においても、補修区間をキロポストで管理することで、作業位置の共有や工程管理が容易になります。
住所の概念がない高速道路や鉄道路線上では、キロポストが事実上の“位置情報の住所”となっており、安全運用と保守管理の根幹を支えているのです。
■ キロポストの設置間隔とデザイン
キロポストは通常1キロメートルごとに設置されています。キロポストのもっとも一般的なデザインは緑色の背景に白い数字で距離が表示された標識です。より細かな位置把握が求められる道路では100メートルごとに設置されている場合もあり、この場合は白地に緑の数字といった色使いで区別されています。100メートル単位の距離は小数点で表現され、たとえば12.6とあれば起点から12.6km、つまり12km600m地点であることを意味します。このように小数点以下で100m単位の距離を示すことで、走行中でも位置を素早く把握できるよう工夫されています。
また、200kmや300kmといったキリの良い地点では「東京から300km」といった節目が分かりやすいよう、特別なデザインが採用されることもあります。さらに高速道路によっては地域性を持たせたデザインが用いられることもあります。たとえば北関東自動車道では紫の背景に白文字という独自配色のキロポストが設置されています。このようにキロポストには一定のルールがありながらも、路線によってバリエーションが存在しています。
■ キロポストの表記(KPという単位について)
キロポストはKP(Kilometer Post)と略され、KP12.6と表記された場合は起点から12.6km地点を意味します。現場資料ではKP10、10K、10kmなど表記が混在することがありますが、いずれも起点から10km地点を示しており、意味に違いはありません。なお、標識そのものにはKPの文字が入らず数字のみが記載される場合もありますが、管理上は同じ扱いとなります。
② 高速道路の起点はどこ?
高速道路のキロポストの起点(ゼロポイント)はどこから始まるのでしょうか。関東圏の主要な高速道路の起点をあげると東名高速の起点は東京料金所、中央自動車道は東京の高井戸、東北自動車道は埼玉の川口ジャンクション、関越自動車道は東京の練馬となっています。
その他の高速道路の起点は、名神高速道路は愛知の小牧、新名神高速道路は三重の四日市ジャンクション、中国自動車道は大阪の吹田、山陽自動車道は兵庫の神戸ジャンクションです。北海道の道央道は大沼で札幌ではありません。九州自動車道の起点は福岡の門司です。

また、主要な高速道路から分岐する高速道路の場合は、起点が複雑です。たとえば、長野自動車道の起点は長野の岡谷、中央自動車道の分岐点です。九州では、九州自動車道から分岐する各高速道路の起点が設定されています。これらの道路に入ると、新しい起点からの距離となりキロポスト表示がリセットされ0からの表示になります。
キロポストには通常起点からの距離が表示されていますが例外もあります。東名高速の東京料金所から名神高速の西宮料金所までは2つの高速道路をまたいでいるので通常は起点がリセットされます。しかし、この区間のキロポストの表示は東名高速の起点は東京料金所から通しの距離で表示されています。そのため、名神高速の起点である小牧のキロポストは0kmではなく、346.7kmとなっています。面白いですね。
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③ 高速道路以外のキロポスト
高速道路以外にも、キロポストに相当する距離標がさまざまなインフラで使われています。以下に代表的な3つの分野をご紹介します。
■ 鉄道
鉄道にも、線路ごとに起点からの距離を示す距離標が設置されています。線路沿いの地面や架線柱に数字が記されており、たとえば12.6とあれば、その路線の起点から12.6km地点であることを示します。
この距離標は、運転士の運転位置確認、保線作業の対象区間指定、信号機・踏切・駅の管理基準など、鉄道運行における重要な目印となっています。
高速道路と同様に、鉄道の距離標も線路上の“住所”の役割を果たし、障害発生時の位置通報として使用されます。
■ 一般道(国道/都道府県道など)
一般国道や都道府県道でも、道路の起点からの距離を示す距離標が設置されています。標識には7kmや11.7kmといった形で起点からの距離が表示されており、設置間隔は1キロメートルごとが基本ですが、道路によっては100メートルごとに小数表示される場合もあります。起点は市役所や町村役場前、中心市街地、駅周辺などが選ばれることが多く、道路改良やバイパス開通によって実際の距離が変わっても、古い標識が残されたままになっているケースもあります。呼称としては高速道路で用いられるキロポストという言葉が使われないこともありますが、その機能は同じく起点からの位置を示す基準点であり、実務上は高速道路と同様の役割を果たしています。


■ 河川
河川管理においても、河口や合流点を起点として何キロメートル上流に位置するかを示す距離標が設置されています。標識の間隔はおおむね100〜500メートルごととされ、たとえば17.8k+20mと表示されている場合は、河口から17.8キロメートル地点に加えてさらに20メートル上流、つまり起点から17キロ820メートル地点を意味します。これらの距離標は、河川工事や維持管理を行う作業者が正確な位置を共有するための基準として使われるほか、災害や事故時の通報においても参照点として重要な役割を担っています。

いざという時のキロポスト活用方法
高速道路だけでなく、一般道や河川、鉄道など幅広い場面で「正確な位置を示す基準」として使われているキロポスト。実は、日常の運転中や緊急時にも大きな力を発揮します。ここでは、ドライバーが知っておくと役立つキロポストの具体的な活用方法を紹介します。
① 事故を起こしてしまった場合や車が故障してしまったとき(自分が当事者になったとき)
高速道路を運転中、もし事故や車両トラブルに遭遇した場合などいざというときにキロポストの活用方法を知っておけば、キロポストは非常に役立ちます。
車が動かなくなった時は、できる限り道の端に車を移動させて、発煙筒や三角表示板を車の後ろに設置し、追突を防ぐための措置を講じます。この時、同乗者や運転手は車内や車の近くにいないで、必ずガードレールの外など安全な場所に避難した後に、必要な外部と連絡をとることが重要です。最初に行うべきは、電話緊急ダイヤル(#9910)への通報です。
車両の故障の場合は加入している保険会社(ロードサービス付きの自動車保険に加入している場合)やJAFなどのロードサービスに連絡し、事故の場合には110番に連絡します。
連絡を入れる際、自分の車の位置を正確に伝えるためにキロポスト標識の数字を伝えると位置を特定しやすくなり、事故や故障車の処理がスムーズに進みます。
② 高速道路で事故や落下物を目撃したとき
キロポストは、高速道路で事故や落下物を目撃した際の通報にも役に立ちます。高速道路で事故や落下物を目撃した際、近くのキロポストの数字をメモしておき、緊急ダイヤル(#9910)に通報しキロポストの数字を伝えることで、事故や落下物の正確な位置が特定され、NEXCOや警察の迅速な対応が可能になります。
③ ラジオなどで渋滞の場所、工事の場所の情報を知ることができる(一般的な役立つ情報として)
ラジオの交通情報などで「0月0日午前0時現在、東名高速上り線 ●●トンネル入口から000キロポストまで10kmの渋滞です」のような案内があります。ドライバーはアナウンスを聞き、これから自分が向かう先のキロポストの情報であれば工事、渋滞、事故などがあることを予想して運転することができます。高速道路を降りて渋滞を避けるなど、快適ドライブに役立ちます。
④ オービスの場所もキロポストであらわされている
その他にもキロポストは様々な用途で使用されています。たとえば、インターネットでオービス(速度違反自動取締装置)を検索すると、オービスの設置場所の位置情報がキロポストの数字で表示されていることが多いです。オービスの設置付近のキロポストを確認しながら制限速度を守り運転すれば速度違反で取り締まられることなく快適なドライブが可能になります。
業務・社会インフラにおけるキロポスト活用
高速道路上の位置情報を示す目印として知られるキロポストですが、その活用範囲は一般ドライバーに限らず、道路管理、物流、防災、さらにはGIS解析など、多様な業務領域において「位置を正確に示す共通の基準点」としての機能を果たしています。代表的な活用例をあげると以下のようなものがあります。
道路管理業務
交通量や事故発生地点をキロポストの数値で可視化することによって、危険箇所の把握や施策検討が容易になります。
物流業務
走行区間ごとの料金計算やルート別のコスト管理に利用できます。
高速道路運営者
点検や補修作業の対象区間の管理、工事計画の立案にキロポスト情報を使用しています。
GIS(地理情報システム)を使ったインフラ分析
キロポストを使った区間分析や道路資産管理が行われています。
災害時の通行止め情報や被害状況整理
位置情報を統一する基準として機能します。
自治体による交通安全施策
事故多発地点をキロポスト単位で整理することで、対策の優先順位付けが可能になります。
このようにキロポストは、道路管理・物流・防災・GIS解析など多様な分野の業務で活用されています。
ジオテクノロジーズのキロポストデータ
ジオテクノロジーズが提供する「キロポストデータ」は、高速道路および都市高速道路に設置されたキロポスト(距離標識)の位置を収録したデータベースです。

キロポスト位置は約100m単位で整理され、キロポスト番号(例:KP12.6)と道路起点からの距離が正確に紐づけられています。データは数値化された地理座標形式で提供されるため、さまざまな業務システムに活用しやすいデータとなっています。
ジオテクノロジーズが自社で整備・提供しているキロポストデータは、高速道路上の事故・故障発生時の位置特定、道路補修区間の管理、渋滞解析や設備設置検討など、道路関連業務における幅広い用途で活用が可能です。
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