公開日:2023.08.30 更新日:2025.08.27

一時停止の2つのマーク、止まれの標識と路面標示(道路標示)って何が違う?

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道路を走っていると目にすることの多い「一時停止」を示す2つのマーク。赤い三角形に「止まれ」と書かれた一時停止標識と、道路に白く大きく描かれた「止まれ」の路面標示(道路標示)。この二つはよくセットで見かけますよね。

「標識と地面の文字、いったい何が違うの?」「もし標識がなくても止まるべきなの?」と疑問に思ったことはありませんか。実は一見同じ意味を伝えているように見えても、両者は法律上で異なる位置付けを持っています。

日本全国のデジタル地図を自社で整備している“地図のプロ”であるジオテクノロジーズが、道路や交通データを長年扱ってきた専門家の視点から、意外と知られていない一時停止標識と路面標示(道路標示)の違いをわかりやすく解説します。この記事を読めば、普段何気なく通り過ぎていた標識や文字の意味がすっきり整理できるはずです。

また、ジオテクノロジーズでは日本全国の一時停止標識を整備した「一時停止データ」をご用意しております。カーナビ上での音声案内やアイコン表示による注意喚起、交差点におけるリスク解析など、交通安全ソリューションにご活用いただけますので、ご興味のある方はこちらのサービスページよりご覧になってみてください

一時停止の2つのマーク、止まれの標識と路面標示(道路標示)って何が違う?

一時停止標識と、道路に書かれた路面標示(道路標示)「止まれ」の違いとは?

現在、多くの交差点では「赤い三角形に白い『止まれ』の文字が書かれた一時停止標識」と、「道路に白い文字で描かれた『止まれ』の路面標示(道路標示)」がセットで設置されるのが一般的です。どちらも同じ「一時停止」をドライバーに伝えるものですが、実は役割と法的な位置付けが大きく異なります。

一時停止標識は「規制標識」

まず、「止まれ」と書かれた三角形の赤い標識(一時停止標識)は、道路交通法に基づく規制標識の一つです。
道路交通法第四十三条において、「交通整理が行なわれていない交差点またはその手前において、車両や路面電車が一時停止すべきことを指定するもの」と定義されており、法的効力を持つ命令です。

この標識が設置されている場所では、自動車・自転車・そして2023年7月の法改正で16歳以上が免許不要で利用可能となった電動キックボードも含め、すべての車両が必ず停止しなければなりません。従わなければ交通違反となります。

路面標示の「止まれ」は「法定外表示」

一方、道路に大きく描かれた「止まれ」の文字や停止線は、法定外表示に分類されます。これは法律に定められた正式な道路標識・標示には含まれませんが、交通の安全と円滑化のために公安委員会(警察)が設置するものです。つまり、路面標示の「止まれ」自体に法的効力はなく、標識の存在を補強し、ドライバーの注意を喚起する役割を担っています。

慣例として赤い三角形の一時停止標識と併設されるため、路面に「止まれ」の文字を見かけたら、法的効力が標識側にあるとしても、安全確保のため必ず停止しましょう。

 

電動キックボードにも適用される一時停止義務

前述のとおり、2023年7月1日の道路交通法改正により、16歳以上であれば免許不要で利用できるようになった電動キックボードも、一時停止の規制対象です。標識がある場所では必ず停止する義務があり、路面の「止まれ」表示も併せて確認し、必ず一時停止をしましょう。

一時停止標識の紹介

一時停止標識は、赤い逆三角形に白い文字で「止まれ」と書かれた規制標識です。正式には(330-A/330-B)として分類され、道路交通法第四十三条に基づき「交通整理が行われていない交差点やその手前で車両や路面電車を一時停止させるもの」と定義されています。

この標識の前に白い停止線がある場合はその直前で、ない場合は標識の直前で停止する必要があります。見かけたら必ず一時停止し、周囲の安全を確認しましょう。

一時停止標識のサイズ・大きさについて

一時停止標識は、赤地に白文字の三角形という形状で統一されていますが、そのサイズは道路状況や交通環境に応じて拡大・縮小が認められています。基本の寸法は 一辺80cm(倍率1.0)ですが、道路の形状や設計速度により以下のように規定されています。

2/3倍:一辺 53.3cm
1.5倍:一辺 120cm
2.0倍:一辺 160cm

さらに、道路標識令の備考によれば、規制標識や指示標識は「道路の設計速度、道路の形状または交通の状況により特別の必要がある場合」、図示の寸法の 2倍まで拡大、または1/2まで縮小可能とされています。つまり、高速道路や交通量の多い道路ではより大きな標識が使われることがあり、逆に狭い生活道路などでは小型の標識が設置される場合もあります。

多言語表記の一時停止標識

近年では外国人観光客や在留者への配慮から、「止まれ」と「STOP」を併記した一時停止標識も全国的に導入が進んでいます。これは2017年に東京都が2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて先行導入したものが始まりで、現在では他の自治体にも広がっています。

同様に、「徐行」標識に「SLOW」と英語が併記されるなど、多言語化の流れは一時停止標識に限らず広がりつつあります。

参考:国土交通省「道路標識一覧」

参考:KICTEC「規制・指示標識の寸法・形状・色彩について」

参考:e-GOV「法令検索:道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」

ジオテクノロジーズでは地図整備のために撮影した道路画像から標識を自動抽出するシステム提供が可能です。

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路面標示(道路標示)の紹介

交通の規制や指示を表す標示板を「道路標識」と呼ぶのに対し、路面上に書かれた記号や文字は路面標示(道路標示)」と呼ばれます。
道路に大きく描かれる白い「止まれ」の文字もその一つで、通常は一時停止を指示する停止線とセットで設置されます。

この「止まれ」の白文字は、赤い三角の一時停止標識と併設されるのが慣例であり、標識のある場所ではほとんどの場合、路面にも「止まれ」と記されています。また、表記のスタイルには地域ごとに違いがあり、「止まれ」「とまれ」「止マレ」といった文字の違いや、縦書き・横書きのレイアウトなど、道路事情に応じたバリエーションも見られます。

重要なのは、この路面標示(道路標示)が現在は慣例ではなく、国家公安委員会・警察庁が定める「交通規制基準」に基づいて設置基準や仕様が明確に定められている点です。具体的には以下のようなルールが定められています。

路面標示(道路標示)の設置基準

この路面標示(道路標示)は、国家公安委員会・警察庁が定める「交通規制基準」に基づいて設置場所や方法が明確に規定されています。

・「止まれ」表示は一時停止規制が実施されている場所に設置される。
・一時停止規制のない場所に設置してはならない。
・舗装道路では停止線(203)とセットで設置するのが原則。
・停止線がある場合は同じ地点または直前に、ない場合は交差点にできるだけ接近した地点に設置する

路面標示の様式・色・寸法

・表示は 白色 で、縦書きを原則とする。
・「止まれ」表記とする。
・道路の状況に応じて寸法を縮小するなど軽微な修正は可能。
・効果を高めるために、必要に応じて「強調表示」(例:大型文字や二重表示)を組み合わせることもできる。

補足事項

・停止線が積雪や未舗装などで認識しにくい場合は、別途「停止線標識(406の2)」を設置して位置を明確にする。
・夜間の視認性確保が必要な場所では、灯火式や自発光式の道路標識を用いることも認められて

これらの基準は、令和6年3月1日改正の交通規制基準で設置場所や方法が定められ、令和6年7月26日通達で法定外表示としての統一仕様が整理されたものです。両方を合わせると、「どこに設置すべきか」という運用基準と、「どのように設置すべきか」という仕様基準が体系的に整備されていることがわかります。

参考:警察庁「法定外表示等の設置指針について(通達)」

参考:警察庁「交通規制基準」

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どこに一時停止標識は設置されているのか?

一時停止標識は全国の道路に数多く設置されていますが、「どこにあるのか」を一覧できる地図は一般公開されていません。ドライバーが実際に把握する手段としては、現地で標識や路面標示を目視するか、カーナビや地図アプリに表示される情報を利用するのが一般的です。

もちろん、一時停止標識は各都道府県の公安委員会(警察)が設置・管理しているものであり、民間が勝手に設置することはできません。設置場所は交通の安全を確保するために慎重に決められており、正式な手続きを経て設置・管理されています。

ジオテクノロジーズでは、日本全国を対象に自社で道路データを整備しており、その一環として一時停止標識の位置データも収集・管理しています。これにより、地図システムやナビゲーションサービスに正確な一時停止情報を組み込むことが可能です。もし貴社の地図サービスや交通システムに一時停止標識の情報を導入したい場合は、ぜひご相談ください。

さらに、設置された標識や路面標示は時間の経過とともに劣化し、定期的な点検や更新が必要となります。その際に役立つのが、ジオテクノロジーズが提供する「ジオクエスト」です。現場の標識・標示を効率的に管理・整備できるソリューションとして、多くの交通関連業務に活用されています。

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ジオテクノロジーズの取り組み

ジオテクノロジーズでは、

・一時停止標識データを含む安心・安全コンテンツの提供
・道路画像から標識を自動抽出するシステム
・路面標示の劣化を自動判定するシステム

など、多様なソリューションを展開しています。道路データの活用や地図サービスへの導入にご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

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