公開日:2023.07.07 更新日:2025.10.31

最高速度は何キロ?法定速度との違いや最高速度データの活用法をご紹介!

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車を運転していると、「この道路は何キロまで出していいんだろう?」と迷うことはありませんか。
道路には「最高速度」や「法定速度」といったルールが定められていますが、実際にはこの2つの違いを正しく理解している人は多くないのではないでしょうか。高速道路や一般道路など、道路の種類や車両の種類によっても上限速度は変わります。

今回は、最高速度と法定速度の違いをわかりやすく簡単に解説するとともに、ジオテクノロジーズが持つ最新の最高速度データがどのように活用されているかについてもご紹介します。安全運転や物流の効率化に欠かせない「速度データ」の重要性を、制度と実務の両面からご紹介します。

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最高速度は何キロ?法定速度との違いや最高速度データの活用法をご紹介!

最高速度とは?

「最高速度」とは、車両が道路上で走行できる上限の速度を定めたルールのことです。
法律上は「道路交通法第22条」で次のように定められています。

第22条(最高速度)
車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

日本の法令における最高速度の規制は、大きく指定最高速度と法定最高速度の2種類に分けられます。

指定最高速度

指定最高速度とは、道路標識や道路標示によって個別に指定された最高速度のことです。法令上は「指定最高速度」と呼ばれ、運転者はその指定に従う義務があります。標識などに示された数値が、その区間で出してよい速度の上限です。たとえ1km/hでも超えて走行すると速度超過となり、交通違反として罰則の対象になります。指定最高速度は、道路構造や周辺環境(沿道環境、歩行者交通量、交通事故状況など)を総合的に考慮して、主に都道府県警察が公安委員会の認可を得て設定されます。

法定最高速度

法定最高速度(法定速度)とは、道路標識や道路標示で個別に最高速度が指定されていない区間で適用される、法律(政令)で定められた最高速度のことです。標識がない場合でも、道路の種類や車種ごとに上限速度が決まっています。たとえば、一般道路では自動車は時速60キロ、原動機付自転車は時速30キロが上限です。高速道路では普通乗用車が時速100キロ、大型貨物車などは時速90キロとされています。運転者は標識がなくてもこの法定速度を守る義務があり、速度超過は道路標識の有無にかかわらず違反となります。

生活道路での最高速度の見直し

近年では、住宅街や通学路などの「生活道路」における速度規制が見直されています。従来、標識のない道路では一律に法定速度60km/hが適用されていましたが、歩行者や自転車との接触事故を防ぐため、生活道路では法定速度を30km/hに引き下げられることが2025年4月23日の閣議で決定されました。
この取り組みは「ゾーン30」と呼ばれ、生活道路を中心に30km/hの速度規制を区域単位で実施するものです。

対象となるのは、中央線や中央分離帯がなく、道幅が5.5メートル未満の比較的狭い道路。住宅地や学校周辺など、人の往来が多いエリアが中心です。

背景には、狭い道路での死亡事故が多発している現状があります。調査でも、道幅5.5メートル未満の道路では歩行者との事故率が高いことが示されています。「ゾーン30」による時速30km/h規制は、地域の安全を守るための重要な取り組みといえます。この生活道路の最高速度引き下げは2026年9月から適用されます。

狭い生活道路の法定速度30kmに引き下げの記事は こちら>

車両ごとの最高速度

車両の種類によって、一般道路や高速道路で走行できる最高速度は異なります。ここでは主要な車種ごとに、その基準を紹介します。

高速道路の最高速度について

高速自動車国道の本線車道では、速度が特に指定されていない区間では、一般の乗用車の最高速度は100km/hです。
道路に最高速度が明示されている場合は、その速度が最高速度となります。例えば、道路標識や表示で最高速度が80km/hとなっている場合は、80km/h以下の速度で走行する必要があります。
つまり、高速道路では速度指定のない区間での最高速度は100km/h、指定された最高速度がある場合は、その速度が最高速度となります。
また、道路構造や安全基準が十分に整った一部の高速道路の一部区間では、最高速度が時速120キロに引き上げられています。新東名高速道路や東北自動車道などがその例で、設計や事故率などの条件を満たしたうえで指定されています。

参考:産経新聞「岩手の東北道、最高速度120キロへ引き上げ 全国初」

前述した普通自動車を含めて速度指定のない区間の車種別の高速道路の最高速度(制限速度)は下記のようになっています。

①大型乗用自動車、特定中型貨物自動車以外の中型自動車、普通自動車(三輪のものを除く)、大型自動二輪車、 普通自動二輪車は、100km/h
②①以外 80km/h
③他のクルマを牽引する時 80km/h

参考:https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-drive/subcategory-safety/faq100

最高速度データに関する記事は こちら>

一般道路の最高速度について

一般道で道路上に最高速度(制限速度)を示す標識などがあれば、その指定された速度がその道路の最高速度となります。例えば、標識に40km/hと表示されていれば、その道路での最高速度は40km/hとなります。速度指定のない区間では普通の乗用車の最高速度は60km/hとなります

速度指定のない区間の車種別の一般道路の最高速度は下記のようになっています。

① 普通乗用自動車(軽自動車を含む)、大型乗用自動車、特定中型貨物自動車以外の中型自動車、普通自動車(三輪のものを除く)、大型自動二輪車、普通自動二輪車は、60km/h
② 大型貨物自動車(トレーラーを含む) 60km/h
③ 他のクルマを牽引する時(牽引自動車) 60km/h
④ 原動機付自転車(125cc以下の二輪車)30km/h

参考:https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-speed-limit/

大型車規制データの記事は こちら>

道路上には、最高速度が標識によって切り替わる地点が存在し、特に最高速度が低くなるポイントでは、運転者が速度違反を起こしやすく、運転する際には注意が必要です。

 

法定速度では「最低速度」も決まっている

日本の法定速度制度には、上限である最高速度だけでなく、下限である最低速度も定められています。これは、あまりに遅すぎる走行を規制し、交通の円滑性と安全を確保することを目的としています。

法定最低速度と適用区間

最低速度にも、指定最低速度法定最低速度の2種類があります。

指定最低速度: 道路標識(324)で特定の速度が指定されている区間に適用されます。一般道路や自動車専用道路においても、標識があればこれに従う必要があります。

(324)最低速度

参考:国土交通省「道路標識一覧」

法定最低速度: 法定最低速度とは、高速自動車国道(いわゆる高速道路)で、極端に遅い走行を防ぐために定められたルールです。標識による指定がない場合でも、政令により時速50キロが法定最低速度とされています。適用されるのは高速自動車国道の本線車道のうち、対面通行でない区間に限られ、標識などで特別な指定がない限り、時速50キロ未満での走行は認められていません。

また、最低速度規定は、法令の規定により速度を減じる場合や危険を防止するためやむを得ない場合(渋滞や道路工事、警察官の指示などにより速度が出せない場合)には適用されません。

自動車における最高速度データの活用方法

ジオテクノロジーズでは道路の最高速度データを整備保有しています。最高速度データは、単に道路上の制限速度を示す情報にとどまらず、交通安全や業務効率化を支える重要なインフラデータのひとつになっています。最高速度データの活用方法を紹介します。

カーナビ・ドライバー支援における活用

最高速度データを利用すればカーナビに走行中の道路の制限速度を表示したり、速度超過している場合に音声でドライバーへの注意喚起をしたりすることができます。

また、車両のADAS(先進運転支援システム)や自動運転機能に最高速度データを活用すれば、カーブや分岐の手前や最高速度が変化する地点(引き下げられる地点)で制限速度に合わせて減速する、もしくは車線維持支援と連動して最適速度を保つ機能などの実現が期待できます。

物流・運送業務における活用

最高速度データを活用することで、より現実的なルート設計やスケジュール管理も期待できます。
配達ルート上の制限速度を考慮すれば、実際の交通流に近い走行時間を予測でき、到着予定時刻(ETA)の精度向上や遅延リスクの低減につながります。

また、ドライバーの速度超過を防止し、燃費や安全運転を評価する「運行管理システム」でも、最高速度データの活用により最高速度遵守状況の分析が可能になり、安全な運転教育への活用も期待できます。

近年では、配送効率を最適化するAIルート検索や、ドライバーの拘束時間管理システムにも制限速度データの活用が検討されるなど、企業全体の業務改善に直結する情報資産としての価値が高まっています。

地図・交通情報サービスにおける重要性

地図・交通情報サービスを提供する企業にとって、最高速度データは道路属性情報の重要な要素です。道路改修や速度規制の見直し(たとえば生活道路の30 km/h化や高速道路で120 km/h指定の導入など)は時折発生するため、こうした変化を迅速かつ正確に反映することが、ナビや交通アプリの信頼性向上につながります。

ジオテクノロジーズでは、自社の地図データベースを年12回更新する体制を整えており、全国の最高速度・速度規制変更を継続的に反映しています。
また、MapFanの道路地図データベースでは、全国の道路リンクごとに標識や路面ペイントに基づく最高速度(制限速度)情報を収録しています。データは10km/h単位(20〜120km/h)で整理され、各道路リンクに紐づくテーブル形式で提供されます。ナビゲーションや物流ルートの最適化などに活用できるのが特徴です。
このように、最高速度データを継続的に更新・提供できる体制を持つことは、安全運転支援や物流効率化、交通政策支援など多方面での価値源泉になります。

ジオテクノロジーズの最高速度データの詳細はこちら>

最高速度をめぐる制度とデータ活用の意義

道路の最高速度制度は、道路交通法に基づいて安全と円滑な交通を守るために設けられています。生活道路では30km/h、高速道路では条件を満たした区間で120km/hなど、道路環境や社会の変化にあわせて見直しが進められています。
こうした制度改正に対応するためには、常に最新の最高速度データを正確に把握・反映できることが欠かせません。

最高速度データは、単なる数字ではなく、安全・効率・信頼のすべてを支える社会インフラ。
制度の理解とデータ活用の両輪で、安全で持続可能なモビリティ社会を実現していくことが期待されています。

MapFanの最高速度データについての詳細はこちらをご覧ください。

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