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2021.07.07

MapFanで確認! 住所データの地名から読み解く、住所の不思議(住所データ・地名編)

社会生活のあらゆる場面で必要になる住所。普段身近な存在の住所も、実はよくわかっていないという人も多いのではないでしょうか?知らない町へ引っ越した時、見慣れない住所に戸惑ったことはないでしょうか?

日本の住所には、変わった地名がたくさんあります。京都の通り名や、一つの土地に二つ住所があるところ。1、2、3の代わりにイロハや甲乙丙を使っている地域。そこから見えてくるのは、その地域特有の歴史や暮らしです。知れば知るほど面白い住所。

今回はインクリメントPで住所情報の整備にあたっている東北開発センターの藤田さん、中村さんに、住所についてお聞きしました。

明治期の中央集権化によって整備された、日本の住所

今の住所の原型ができたのは、明治時代。それまでの幕藩体制に変わり、明治4年の廃藩置県に代表される、中央集権化が進められます。その中で、江戸時代には藩ごとに管理されていた税制も集権化されていきます。

集権化された税制を実行するために必要だったのが、全国の人と土地を管理するための住所でした。全国で何万とあった村をそのままでは統制できません。明治21年からの町村制によって、全国に大字(おおあざ)が置かれ、住所が振られていきます。

新しく敷かれた地名は元からあった地名を参考につけられていきました。ある町は主となる町や村の地名を使用して、ある町は2つの地名から1文字ずつ取って、新しい地名がつけられました。そうして作られた住所をベースに、以降の土地や人口の変化、平成の町村合併などを経て、今の住所が形作られてきました。

日本には様々な住所表記があります

日本の住所表記は一つだと思っていませんか?

日本住所の基本は

・日本の住所は 地名番地・号 で表現します。

・地名は文字の部分番地・号は数字の部分のことで、それぞれが種類を持っています。

更に、地域ごとに特性をもったさまざまなパターンの住所があり、日本の住所はとっても複雑な仕組みになっているんです。

【さまざまな住所の例】

・東京都文京区春日1丁目16-21(一般的な住所)

・山梨県南都留郡忍野村忍草1514(郡がつく住所)、

・青森県南津軽郡大鰐町大字大鰐字羽黒館5-3(字や大字がつく住所)

・石川県羽咋市旭町ア200(短い住所)

・千葉県旭市ロ1(短い住所)

・茨城県龍ケ崎市3710(もっと短い住所)

・鹿児島県志布志市志布志町志布志2丁目1-1(早口言葉みたいな住所)

・東京都三宅島三宅村阿古497(東京都の後に郡がない)

・東京都青ヶ島村無番地(無番地って珍しい)

・大分県別府市風呂本5組(5組って珍しい)

・京都府京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488(京都独自の住所)

それでは、住所の由来を見ていきましょう。

関連記事「住所データ(番地・号編)」は こちら>

明治8年から150年弱、ずっと残っている住所―忍野村

山梨県南都留郡にある忍野村は、明治8年に誕生して以来、ずっと同じ名前の地名です。

忍野村は、忍草村と内野村が合併してできたことから、それぞれ1文字ずつ取り忍野村と名付けられました。忍野村のように、元の市町村名の一部から文字が取られてできた自治体名は、全国に数多く見られます。

「1、2、3」ではなく、「ア、イ、ウ」?

石川県では、字名に片仮名や平仮名1文字が用いられた地名が多く見られます。

例えば、「石川県羽咋市旭町ア200」。これは石川県羽咋市役所の住所です。他にも、「甲、乙、丙」や「イ、ロ、ハ」、漢数字の「一、二、三」を用いた字名も。これは石川県だけではなく、北陸地方や愛媛県、山口県など、各地に存在しています。この変わった住所は、住所整備の際に、他の地域よりも細かく住所を振っていったのが原因だそうです。

住所が整備された明治期は、ネットも電話も無い時代。中央からの指示の概要は、現場によって解釈され、実行されました。その際に、他の地域よりも細かく住所を振っていたこれらの地域の住所が、現在に至るまで残っているようです。

「市」だけで終わっちゃう?とっても短い住所―龍ケ崎市

茨城県にある龍ケ崎市の旧龍ケ崎町地区では、「市」のすぐ後ろに番地がつきます。

例えば「茨城県龍ケ崎市3710」は、龍ケ崎市役所の正式な住所です。一見、間違いに見えてしまうこのシンプルな住所も、ちゃんと正式な住所。それでも場所の特定がしづらいなどの不便さもあり、「茨城県龍ケ崎市寺後3710」のように、住民登録では使われない小字(こあざ)「寺後」を付けて表記することもあります。

このような龍ケ崎市の変わった住所ですが、合併の際に特に新しい町名が誕生するきっかけがなかったことから、このような住所になったそうです。

関連記事「住所データ(番地・号編)」は こちら>

通称住所と公称住所―京都通り名、大分県の通称住所、など

地域によって正式な住所とは別に、慣習的に使われている住所名は、「通称地名」、「行政区」、「通称住所」等と呼ばれます(以下「通称住所」とする)。通称住所の中には、正式住所と同じように公的サービスに使えるものもあり、通称住所だから正式ではない、ということではありません。市のホームページや、中には住民票にも記載される通称住所もあります。一方、住民登録や免許証には正式な住所を使用する必要があります(以下「公称住所」とする)。

また公称住所の中にも独特なものとして、京都の通り名があります。「京都府京都市中京区神本能寺前町寺町通御池上る488」というのは京都市役所の住所ですが、「寺町通御池上る」という京都特有の通り名がついています。

京都市では小学校で京都通り名の覚え歌を習うくらいに、一般的なもの。碁盤の目のような京都市街では、主要な通りに限らずほとんどの通りに固有の名称がついています。昔から使われてきた京都通り名は、住所名にとどまらず、京都の大切な文化になっています。

京都府京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488(公称住所、通り名表記)
京都府京都市中京区上本能寺前町488番地(公称住所)

北海道や大分県では通称住所が日常生活で広く使われます。
例えば「大分県別府市風呂本5組」。一見住所には見えないですが、これも大分県別府市の通称住所。公称住所は「大分県別府市大字鉄輪293-4」になります。通称住所と全然違いますね。大分市では住民票に、公称住所に加えて、通称住所を記載することができます。住まいは一つでも、住所は2つ。面白いですね。

北海道空知郡上砂川町役場の住所は「上砂川町字上砂川町40番地10」が公称住所ですが、通称住所は「上砂川町中央北1条5丁目1番7号」。この住所は北海道によくある条丁目の住所の様ですね。

左:大分県別府市風呂本5組(通称住所) 右:大分県別府市大字鉄輪293-4(公称住所)

また、長野県軽井沢や神奈川県箱根町などの別荘地には、通称住所がつく場合があるようです。もともと国有地だった場所で住所の区別ができなかったり、ブランディングのために使われたり。土地柄によって、さまざまな通称住所があります。

市町村合併によって、変わった名前になった住所―

全国の住所には、合併の歴史の中で住所が変わってきた地名がいくつもあります。その中でも、合併によって複雑な名称になった地域も。

「鹿児島県志布志市志布志町志布志」。

まるで早口言葉みたいなこの地名。元は「曽於郡志布志町志布志」だったのですが、合併によってさらに言いにくい地名になりました。思わず口に出して読みたくなりますね。

※上記記事の住所表記は本来であれば「二丁目1番1号」のように記載するべきところですが、わかりやすくするために「2丁目1-1」のように記載しています。

さて、今回は日本の住所の仕組みと、全国の一風変わった住所をご紹介しました。知っていた地名・住所は、ありましたか?見慣れない住所も、そのルーツを考えてみると、面白い発見や学びがあります。みなさんのお住まいの地域の住所にも、素敵な名前の由来があるかも知れません。知ればしるほど面白い、日本の住所。

インクリメントPではこのような複雑で様々な種類の住所を、ひとつひとつの住所の特性を踏まえて、大変な労力をかけて、日本全国の住所をデータベース化してきました。変わった住所を目にした際は、ぜひ調べてみてください。

 

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関連記事「住所データ(番地・号編)」は こちら>

 

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