公開日:2025.04.02 更新日:2026.06.26

配送経路最適化とは?物流業界の課題と効率化の方法を解説

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物流業界では、EC市場の拡大や小口配送の増加、ドライバー不足、物流二法改正への対応などを背景に、配送業務の効率化が大きな課題となっています。その中で注目されているのが、配送先や納品時間、車両条件、交通状況などを考慮しながら最適な配送経路を設計する「配送経路最適化(配送ルート最適化)」です。

配送経路最適化を実現することで、配送時間や走行距離の削減、配車業務の効率化、燃料費や人件費の削減、配送品質の向上などが期待できます。一方で、大型車規制や道路幅、交通渋滞など考慮すべき条件は多く、経験や勘だけで最適な配送計画を作成することは年々難しくなっています。

本記事では、物流業界が抱える課題や、配送経路最適化によって得られる効果などについて紹介します。また、配送経路最適化に役立つジオテクノロジーズの地図データベース「MapFan DBや、大型車にも対応している地図APIサービス「MapFan API」も紹介していますので、参考にしてください。

配送経路最適化とは、車両特性にあわせて最も効率的な配送ルートを作成すること

配送経路最適化とは、複数の配送先を効率よく回るために、配送順序や走行ルート、配車計画を最適化することです。配送距離や納品時間、道路状況、車両特性、安全性などのさまざまな条件を考慮しながら、最適な配送計画を立案することを指します。物流業界では、配送効率の向上やコスト削減、ドライバーの負担軽減を実現するための重要な取り組みの一つとなっています。

配送ルートを検討する際、「最短距離」や「最短時間」が必ずしも最適なルートになるとは限りません。一般的な地図アプリやカーナビで案内されるルートは普通乗用車を前提としていることが多く、物流現場で使用される大型トラックや特殊車両では、そのまま利用できないケースがあります。

例えば、大型車では車高制限のある高架下やトンネルを通行できない場合があります。また、橋梁や道路によっては重量制限が設けられており、積載状態によっては通行できないこともあります。さらに、車幅制限のある道路や大型車通行禁止区間、一方通行規制、危険物積載車両の通行規制など、配送ルートの作成時に考慮すべき条件は数多く存在します。

近年はEC市場の拡大による配送件数の増加や、時間指定配送への対応などによって、配送計画の難易度が高まっています。そのため、単純な距離や所要時間だけでなく、大型車規制情報や交通状況、車両ごとの通行条件まで踏まえてルートを設計することが、物流効率化や安定した配送品質の確保につながります。

従来、配送ルートの作成(配車業務)は、ベテラン担当者が長年の経験や土地勘を活かして行うのが一般的でした。しかし、担当者の高齢化や人手不足により、こうしたノウハウを維持することが難しくなっています。また、配送先の増加や配送条件の複雑化によって、経験だけに頼ったルート作成では対応しきれない場面も増えています。そのため現在では、地図データや大型車規制情報を活用した配送経路最適化の重要性がますます高まっています。配送経路最適化に役立つ大型車規制データに興味のある方はこちらのサイトをご覧ください。

配送経路最適化で考慮すべき大型車規制とは

配送経路最適化を実現するためには、配送先や納品時間だけでなく、使用する車両の特性に合わせた配送ルートを作成することが欠かせません。

一般的な乗用車とは異なり、トラックやバスなどの大型車両は、車高や車幅、車両総重量などの条件によって通行できる道路が制限されます。そのため、最短距離や最短時間だけを基準にルートを作成してしまうと、実際には通行できない道路が含まれてしまう可能性があります。

配送ルートの作成においては、道路交通法や道路管理者が定める大型車向けの交通規制を考慮する必要があります。これらの規制を考慮せずにルートを作成すると、配送効率の低下だけでなく、法令違反や安全上のリスクにつながる恐れもあります。

配送ルート作成時に考慮すべき10種類の大型車規制

大型トラックやバスの配送ルートを作成する際には、車種ごとに設定された交通規制を考慮する必要があります。これらの規制を考慮せずにルートを作成すると、実際には通行できない道路が含まれてしまう可能性があるためです。

配送経路最適化や物流システムにおいて特に重要となる大型車向けの交通規制には、以下の10種類があります。

1. 大型貨物自動車等通行止め
2. 大型乗用自動車通行止め
3. 大型自動車を含む車両(組み合わせ)通行止め
4. 車両総重量制限
5. 最大積載量制限
6. 車両幅員制限
7. 車両高さ制限
8. 指定方向外進行禁止
9. 一方通行
10. 危険物積載車両通行止め

例えば、高さ制限が設定された高架下やトンネルでは車高の高いトラックが通行できず、重量制限のある橋梁では積載状況によって通行できないケースがあります。また、危険物を積載する車両については一般車両とは異なる規制が適用される場合もあります。

このように、大型車向けの配送ルート作成では、適切な規制データを活用することで、法令を遵守しながら安全で効率的な配送ルートを設計できます。

なお、ジオテクノロジーズでは全国の道路を対象に、これら10種類の大型車規制を含む車種別規制データを整備しています。物流システムや配車システムに組み込むことで、大型車の通行可否を考慮した配送ルートの作成が可能になります。

車種別規制データの詳細を知りたい方はこちらをご確認ください。

道路幅を考慮した配送ルート作成も重要

大型車規制を考慮するだけでは、実際に走行しやすい配送ルートを作成できるとは限りません。

例えば、法的には通行可能な道路であっても、交差点の形状や道路幅によっては大型トラックの右左折が困難な場合があります。また、住宅街や工業団地周辺では、大型車同士のすれ違いが難しい狭幅員道路も少なくありません。

長年配車業務を担当してきたベテラン担当者は、こうした道路事情を経験的に把握しており、「法律上は通行可能だが実運用では避けたい道路」を考慮しながら配送計画を作成しているケースも多く見られます。

しかし、人手不足や業務の属人化が課題となる中で、こうしたノウハウを担当者個人の経験だけに頼り続けることは難しくなっています。配送経路最適化を進めるためには、交通規制情報に加えて道路幅データなども活用し、実際の走行環境を考慮したルート設計を行うことが重要です。

ジオテクノロジーズでは、道路の幅員情報をデータベース化した道路幅データも提供しています。大型車の通行や右左折のしやすさを考慮した配送ルート作成や物流システムの高度化に活用できます。

道路幅データについて詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。

配送経路最適化が必要とされる物流業界の課題

配送経路最適化が求められる背景には、物流業界が抱えるさまざまな課題があります。EC市場の拡大による配送需要の増加や、ドライバー不足、物流二法改正への対応など、物流を取り巻く環境は大きく変化しています。ここでは、配送経路最適化が必要とされる主な理由について解説します。

小口配送の増加で重要性が高まる配送経路最適化

ECサイトの普及や、多様化する消費者ニーズに応じた柔軟な供給体制の構築により、1つの配送先に対して少量の荷物を輸送する「小口配送」が増加しています。

国土交通省の資料によると、直近20年で1件あたりの貨物量が半減する一方、物流件数はほぼ倍増しており、物流の小口化・多頻度化が急速に進行しています。

これにより、同じ配送エリア内でも配送件数が増加し、配送先ごとの時間指定や再配達対応など、ドライバーの負担が大きくなっています。また、トラック1台あたりの積載効率が低下しやすく、配送コストの上昇やCO2排出量の増加といった課題も生じています。

限られた人員と車両で増加する配送需要に対応するためには、配送先の訪問順序や走行ルートを最適化し、移動時間や走行距離を削減する取り組みが不可欠となっています。

出典:国土交通省「第1回 自動物流道路に関する検討会 配付資料 資料3 検討の背景(2)物流を取り巻く現状と課題

 配車業務を圧迫するドライバー不足

日本の生産年齢人口は減少しており、どの業界でも人手不足が深刻です。とりわけ物流業界では、長時間労働や業務負荷の大きさなどから人材確保が難しく、ドライバーや配車担当者の不足が大きな課題となっています。

経済産業省・国土交通省・農林水産省が共同で発表した資料によると、道路貨物運送業に従事する人の数は、1995年から2015年までの20年間で21.3万人減少しており、2030年までにはさらに24.8万人減少すると予測されています。従業員の高齢化も進んでおり、物流インフラを維持するためには、限られた人員で効率的に配送業務を行う仕組みづくりが不可欠です。

また、2024年4月からはトラックドライバーに対する時間外労働の上限規制が適用されました。さらに202641日には物流二法改正が施行され、一定規模以上の貨物を取り扱う事業者を対象に「特定事業者」の指定が始まっています。特定事業者には、荷待ち時間や荷役時間の短縮、積載効率の向上など、物流効率化に向けた取り組みが求められており、荷主企業にも物流改善への責任が広がっています。

20264月から施行された物流効率化法では、荷待ち時間や荷役時間の短縮、積載効率の向上などが事業者に求められています。物流二法改正や物流効率化法の概要について詳しく知りたい方は、以下こちらの記事もご参照ください。

こうした環境変化の中で、従来の経験や勘に依存した配車業務だけでは対応が難しくなっています。配送経路最適化や配車システムを活用し、少ない人員でも効率的に配送業務を行える体制を整備することが重要です。

ジオテクノロジーズの地図データは、多くの配車ルート作成システムにも採用されています。配送経路最適化や物流業務の効率化に関心のある方は、配車ルート作成システム資料もご覧ください。

出典:経済産業省・国土交通省・農林水産省「持続可能な物流の実現に向けた検討会 資料2 我が国の物流を取り巻く現状と取組状況

配送計画・配車計画の複雑化

物流の小口化・多頻度化が進む中で、配送先の増加、配送時間指定への対応、交通状況の変動など、考慮すべき条件は年々増加しています。特に都市部では道路混雑の影響を受けやすく、最適な配送ルートを作成するためには膨大な条件を考慮しなければなりません。

さらに大型トラックの場合は、車高制限や重量制限、車幅制限、大型車通行規制なども考慮する必要があります。配送先までの距離や所要時間だけでなく、車両ごとに通行可能な道路を判断しながらルートを作成する必要があるため、配送計画はより複雑になっています。

従来のように人力で配送ルートを作成する場合、多くの時間と経験が必要になります。また、担当者ごとの判断に依存しやすく、業務の属人化やルート品質のばらつきが発生する可能性もあります。

そのため近年では、地図データや大型車規制データ、リアルタイム交通情報を活用しながら、より精度の高い配送ルートを作成する取り組みが進められています。特に渋滞情報は配送時間に大きな影響を与えるため、効率的な配送計画を立てるうえで重要な判断材料となります。

ジオテクノロジーズでは、人流データを活用した高速道路のリアルタイム渋滞情報を地図サイトMapFanで公開しています。交通状況の把握や配送計画の参考情報として活用できますので、興味のある方はぜひご覧ください。

配送経路最適化システムを導入するメリット

これまで人力で行ってきた配送ルート作成を効率化するには、配送経路最適化を実現するシステムの導入がおすすめです。これらの最適化システムには、GIS(地理情報システム)を利用した輸配送管理システムやAIを搭載したシステムがあります。ここでは、システム導入の主なメリットを、3つご紹介します。

配送計画の最適化による配送時間の短縮

配送経路最適化システムには、効率的なルート作成を支援する多くの機能が備わっているため、導入することで配送時間の削減が可能です。

システムを利用したルート作成の際には、配送距離や納品時間、ドライバーの勤務時間・担当エリア、車両の積載容量、道路の規制や混雑状況など、多様な制約条件が考慮されます。さらに、「大型車が進入可能な道路」「建物の入り口」など、個人の経験に依存しがちな情報も含めてルートを導き出し、配送時間の短縮につなげます。

ジオテクノロジーズの地図データベース「MapFan DB」地図APIMapFan APIを活用すれば、物流各社固有の条件に合わせた配送ルートを作成できる物流システムを構築できます。

いきなり物流システムの構築には踏み切れないという場合は、地図サイト「MapFan」のルート検索で、大型車向け規制データを反映させたルートの作成が可能です。まずはお試しいただき、物流システムの有用性を感じてもらうのがいいかもしれません。

全国の道路を対象に、約38万件の大型車向け交通規制データを整備しているほか、大型トラックルート検索では有料道路の利用の有無や車種、車幅・車高・車両総重量などの条件を設定できるため、多彩なルート検索が実現できます。

配車業務の属人化を防げる

配送経路最適化システムを導入すれば、作業の属人化を防ぐことが可能です。従来の人力での配送ルート作成は、多様な条件を踏まえてバランス良く行う必要があり、どうしても経験や勘に頼らざるをえませんでした。後任の人材を育てようとしても、採用の難しさや、言語化しにくい情報の引き継ぎが課題となり、作業はベテランの従業員に依存してしまう傾向にあります。

その点、配送経路最適化システムを導入することで、経験が浅い人や土地勘がない人でも、効率的な配送ルートを作成できるようになります。作業の属人化が解消されることにより、業務品質が向上するほか、従業員の急な休みや異動などにも柔軟に対応できるようになるでしょう。

配送時間の短縮による人件費削減

配送経路最適化システムを導入することで、車両やドライバーの数を削減しても、無駄のない配送が実現できます。配送ルートを最適化することで、配送時間がこれまでよりも短縮され、従業員の長時間労働を減らすことが可能です。

また、作業に従事する人数や車両の台数を減らせるため、残業代をはじめとした人件費、ガソリン代、車検代などのランニングコスト削減も期待できます。

配送経路最適化を成功させるためのポイント

配送経路最適化は、物流に携わる人の負荷を軽減しつつ、荷物を受け取る人の満足度も高める重要な取り組みです。

ただし、配送経路最適化にあたって考慮すべき条件は、配送先が受け取り可能な日時、車両の積載量、ドライバーの担当エリア、交通状況など多岐にわたります。正確な情報を収集し、必要な条件を総合的に判断しなければ、かえって配送に時間がかかってしまう可能性もあるため注意が必要です。

また、従来のやり方に慣れている従業員の中には、システムの導入に抵抗感を持つ人がいるかもしれません。現場との対話をせずにシステムを一方的に導入すると、反発を招くおそれがあるため、システム化の目的やメリットを丁寧に説明しましょう。トライアルや研修で実際にシステムにふれてもらい、利便性を実感してもらうことも大切です。

 

配送経路最適化には地図データ・大型車規制データ・人流データの活用が重要

配送経路最適化には、配送に関する情報を正確に収集し、総合的に判断するための輸配送システムの構築が欠かせません。地図データを活用し、交通規制や大型車規制、配送先の位置情報、車両の現在地などを一元的に管理することで、配送ルートの作成や配車業務を効率化できます。

また、配送ルート作成においては、道路ネットワークや交通規制情報だけでなく、交通渋滞の状況を考慮することも重要です。同じ配送ルートであっても、時間帯や曜日によって交通状況は大きく変化するため、実際の交通実態を反映したルート設計が求められます。

近年では、人流データを活用することで、従来の交通量調査では把握しづらかった道路混雑の傾向や時間帯ごとの交通状況を可視化できるようになっています。こうしたデータを活用することで、より精度の高い配送計画の立案や、渋滞を考慮した配送経路最適化が可能になります。

ジオテクノロジーズでは、地図データベース「MapFan DB」地図APIサービス「MapFan APIを提供し、輸配送システムの構築を支援しています。また、全国から収集される1日10億件以上のモバイルGPSデータを活用した人流データも提供しており、道路利用状況や交通混雑の分析などに活用できます。

さらに、ジオテクノロジーズが運営する地図サイト「MapFan」では、人流データを活用した高速道路のリアルタイム渋滞情報も公開しています。配送計画や交通状況の把握に活用できるため、興味のある方はぜひご覧ください。

配送経路最適化では、地図データ・大型車規制データ・人流データを組み合わせて活用することで、より現実的で効率的な配送計画を実現できます。物流業界を取り巻く環境が変化する中、これらのデータを活用した輸配送システムの重要性は今後さらに高まっていくでしょう。ジオテクノロジーズの地図データ・大型車規制データ・人流データについて詳しく知りたい方はこちらから、ぜひお問い合わせください。

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