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2025.04.01

人流データ分析とは?データの活用方法や分析の流れを紹介

人流データ分析とは、人の移動や行動パターン、属性などを把握するための手法です。新規店舗の立地検討や競合店舗の調査、屋外広告の最適化など、さまざまなシーンで活用が進んでいます。

そこで本記事では、人流データ分析の基礎知識や具体的な活用方法、分析の流れについて解説。ジオテクノロジーズが提供する人流データについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

人流データ分析とは、特定の場所にいる人の動きや属性を分析すること

人流データ分析とは、特定のエリアにおける人の移動や行動パターンなどをデータ化し、分析することをいいます。また、人流データには、年齢・性別・職業などの属性を持つものもあります。

属性を持つデータを利用すれば、特定のエリアにおける移動経路や滞在時間に加え、年齢・性別・職業といった属性情報を含めて取得・分析可能です。

近年、スマートフォンのGPSを活用することで位置情報データの精度が向上したり、AIの活用により膨大なデータの分析が可能となったりしたことから、人流データ分析をより活用しやすい環境が整ってきています。

これにより、ビジネスをはじめ、街づくり、観光、交通、防災など、さまざまな分野での活用が進んでいるのです。

一方、人流データや属性情報の種類・量は膨大なため、適切に活用するには専門知識が必要です。そのため、まずは専門会社に分析を依頼し、プロの知見を活用するのがおすすめといえるでしょう。

人流データ分析の活用方法

人流データ分析は、属性データを含まないのが一般的ですが、属性データを含むものを利用すると、新規店舗の立地検討や競合店舗の調査、屋外広告の最適化など、さまざまな形で活用できます。

ここからは、属性情報を持つ人流データを使った、具体的な活用方法をいくつかご紹介します。

人流データ分析の活用方法

新規店舗の立地を検討

新規店舗の立地を検討する際、人流データ分析を活用すれば、出店候補地の魅力度を客観的に評価できます。人の流れを可視化することで、人通りの多いエリアや時間帯・曜日の傾向を把握できるためです。

また、属性データを活用し、自店舗のターゲット層がどの程度そのエリアを訪れているかも分析できます。ターゲット層の流入が多く、競合店が少ない場所を選べば、集客の成功確率を高められるでしょう。

従来の立地調査では、現地でのカウント調査(通行量調査)などが主流でした。しかし、人流データを活用すれば、より詳細な分析が可能となり、出店戦略の精度を向上させることができます。

競合店舗の調査

人流データ分析を活用することで、競合店舗の状況を詳しく把握できます。例えば、属性データを使って競合店舗の来店者の性別や年齢層、職業、家族構成、来店エリアなどを分析すれば、自店舗のターゲット層とどの程度重なっているかを確認できます。また、来店者が自店舗以外にどの競合店舗を利用しているのかの把握も可能です。

さらに、競合店舗に来店が集中する時間帯や曜日を分析すれば、集客のタイミングを最適化できるでしょう。例えば、競合が集客しにくい時間帯にセールやイベントを行うことで、自店舗への誘導を強化するのもひとつの方法です。

顧客の行動パターンの調査

人流データ分析を活用すると、顧客の行動パターンの詳細な把握が可能です。顧客がどのルートを通って店舗に来たのか、来店前後にどのような店舗・施設を訪れているのかなどを分析すれば、購買行動の流れやニーズが見えてきます。

また、この情報をもとに、より効果的な販売戦略を立てることができます。例えば、平日の夕方に特定の傾向を持った顧客が多く訪れる場合、その時間帯に適した商品を打ち出すといった施策が考えられます。さらに、来店が集中する時間帯にスタッフを増員すれば、店舗運営の効率化にもつながるでしょう。

屋外広告の最適化

人流データ分析は、屋外広告の効果を高めるための施策にも活用できます。ターゲット層が多く集まる時間帯や場所を特定することで、最適なタイミングで広告を表示できるからです。

従来、屋外広告は訴求効果や購買行動への影響を判断しにくい広告媒体とされてきました。しかし、人流データ分析を活用すれば、広告の視認範囲にいる人の流れや滞在時間、年齢・性別・職業といった属性情報を可視化できます。

これにより、広告の効果が高まりやすい曜日や時間帯を特定し、掲出のタイミングを最適化したり、広告の効果測定をしたりといったことが可能です。また、自社の商品やサービスを認知していない潜在顧客にも効果的にアプローチできます。

さらに、「Geo-Research(ジオリサーチ)」のようなサービスを活用すれば、特定の場所を訪れた人に対してアンケートを実施し、広告を見た印象や購買意欲への影響といった調査も可能です。

過去の人流データ分析から将来の人流を予測

人流データ分析は、過去のデータをもとに将来の人流を予測することにも活用できます。

例えば、大規模イベントの開催時にどのような人流が発生したかを分析すれば、次回のイベントで人がどのエリアに集中しやすいかを予測できるでしょう。このデータをもとに、適切な交通対策を講じたり、スタッフ配置や販促計画を見直したりすることが可能です。

人流データの種類

人流データの種類は、計測方法によって主に「カウントデータ」「滞留データ」「ODデータ」「移動追跡データ」の4つに分類できます。各データの特徴について、詳しく見ていきましょう。

カウントデータ

カウントデータとは、特定の地点を通過した人数を記録する、いわゆる「通行量データ」のことです。指定した地点を通過した合計人数のほか、時間帯ごとの通行量や移動方向別の通行量を取得できます。また、属性データを使えば、性別や年齢層などの属性ごとに、通行量の算出も可能です。

滞留データ

滞留データとは、特定の地点やエリア内に、一定時間とどまっている人数を示したデータのことです。このデータにより、エリアの混雑状況や人の密度を把握することができます。カウントデータと同様に、時間帯ごとの滞留人数や属性別の滞留人数の取得も可能です。

滞留データは、店舗の混雑する時間帯や、特定の年齢層の来店が多い時間帯などを分析する際に役立つでしょう。

ODデータ

ODデータとは、特定の出発地点(Origin)から目的地(Destination)まで移動した人数を示すデータのことです。

カウントデータが特定の地点を通過する人数を把握するのに対し、ODデータは「来店者がどこから来たのか」「店舗を出た後にどこへ向かったのか」といった、2地点間の移動の流れを可視化できます。

移動追跡データ

移動追跡データとは、個人単位の移動履歴を表すデータのことです。個人ごとにどのような移動経路をたどったのか、どれだけの距離を移動したのかといった情報を収集できます。

前述のODデータは2地点間での人の流れを表しており、移動経路や移動距離は考慮されていません。一方の移動追跡データは、来店者が店舗内をどのように回遊したのか、観光客がどのようなルートで観光地を回ったのかといった分析をする際に役立ちます。

人流データの取得方法

人流データは、GPSや携帯電話の基地局、Wi-Fi、Bluetoothビーコン、カメラなどから取得可能です。それぞれの取得方法について解説します。

GPS

GPS機能を搭載したスマートフォンなどのデバイスを利用して、人流データの取得が可能です。GPSの主なメリットは、数分単位で更新される高精度な位置情報を取得できる点と、対象のスマートフォンアプリを利用するユーザーの全国的なデータ収集が可能な点にあります。また、移動経路を線として可視化できるため、行動パターンの分析に適していることも特徴です。

一方で、地下や屋内ではGPS信号が届きにくく精度が低下することや、高度(高さ)の判定が難しい点には注意が必要です。

近年はスマートフォンの普及により、観光客の動向調査や都市計画、マーケティングなど、さまざまな分野でGPSを活用した人流データの取得が進んでいます。

携帯電話の基地局

携帯電話が通信を行う際に基地局が受信するシグナル情報を活用し、位置情報を取得する方法もあります。日本全国どこでも24時間365日、広範囲にわたって多くのデータを収集できるため、都市開発や災害時の被災者数の把握などに活用されています。

しかし、この方法はデータの取得頻度が低く、位置情報が「メッシュ単位」と呼ばれる大まかなエリアで記録されるため、詳細な移動経路の分析には向いていません

Wi-Fi、ビーコン

店舗・施設に設置されたWi-Fiやビーコンを活用して、スマートフォンアプリなどから人の動きを把握する方法もあります。高精度で詳細な人流データを取得できることがメリットで、特に店舗内での行動パターンや滞留時間の分析に役立ちます。

一方で、専用機器の設置が必要であり、店舗・施設内でWi-Fiに接続している人や専用アプリを使用している人のデータのみが取得対象となるため、データの取得範囲や収集できるデータ量に制限がある点に注意が必要です。

カメラ

監視カメラやセキュリティカメラなどの映像を使用して、人流を記録する方法もあります。映像データを分析することで、混雑度や人々の年代・性別といった属性情報のほか、滞在時間、移動経路などを把握できます。

なお、カメラを使って人流データを取得する場合はもちろん、ほかの取得方法を実施する場合においても、プライバシー保護に十分な配慮が必要です。

人流データ分析を行う流れ

ここからは、人流データ分析を行う際の、基本的な手順について解説します。取得する人流データを効果的に活用するには、下記の4つのステップを順番に進めることが大切です。

1. 目的の整理とデータ取得方法の検討

初めに、人流データの利用目的を整理することが重要です。漠然と「人の動きを知りたい」というような目的ではなく、具体的な目的を設定しておく必要があります。人流データを通して何を知りたいのかを明確にし、その結果をどのように活用するかを意識しましょう。

例えば、商業施設の場合、「エリアごとの来店率を把握する」「通行人と来店者の属性を比較する」などの目的が想定されます。データ収集そのものが目的にならないよう、ビジネス課題の解決に直結する目的を設定することが重要です。

次に、その目的に応じて、データの種類(カウントデータや滞留データなど)、取得範囲・箇所、取得期間、取得頻度などを具体的に決定します。その上で、最適なデータの取得方法(GPSやWi-Fi、ビーコンなど)を選びます。属性データが必要な場合は、属性情報を持つ人流データを購入して活用しましょう。

2. データの取得

目的と取得方法が決まったら、実際に人流データを取得します。この際、個人情報やプライバシーへの配慮が重要です。また、データ取得の目的について事前に告知することも求められます。必要な告知事項や記載例をしっかり確認しておきましょう。

Wi-Fiやビーコン、カメラを使う場合は、データ取得機器の設置場所を決定します。設定した目的や検証内容を再確認し、必要なデータを確実に収集できる設置場所を選定してください。

3. データ分析と活用

取得したデータは、分析しやすい形式に加工する必要があります。表計算ソフトやBIツール、GIS(地理情報システム)などを活用して、検証したいデータを分析・可視化しましょう。例えば、時系列でデータを比較したり、分析に適した集計単位に変換したりといった加工方法が考えられます。人流データには膨大な情報が含まれているため、必要な情報をわかりやすく整理することが重要です。

なお、GISを活用すれば、人の流れや混雑状況を地図上で視覚化することができます。特定のエリアに集まる人の数をメッシュで表現したり、人流を線で視覚的に表現したりすることが可能です。これにより、どのエリアが混雑しているか、どのルートがよく使われているかなどを直感的に把握できます。

(左)滞在人口をメッシュで視覚的に表現した様子。(右)人流を線で表現し、移動経路や流れを視覚的に表現した様子。

(左)滞在人口をメッシュで視覚的に表現した様子。(右)人流を線で表現し、移動経路や流れを視覚的に表現した様子。

4. データの管理・提供

取得した人流データに個人情報が含まれている場合は、データの管理および提供方法に注意が必要です。

個人情報保護法を遵守し、適切な安全管理措置を講じるのはもちろん、取得したデータを第三者に提供する際には、個人情報の該当性判断フローやデータ利用約款を事前に確認することが求められます。

詳細な手順については、国土交通省の「地域課題解決のための人流データ利活用の手引き」をご確認ください。

人流データを活用するときの注意点

人流データを活用するにあたって、いくつか押さえておくべき注意点があります。特に下記の2点については、事前に認識しておきましょう。

個人情報の取り扱い

人流データには個人情報が含まれている場合があるため、取り扱いには十分な注意が必要です。個人情報保護法などの法律を遵守し、プライバシーの保護を徹底することが求められます。

また、データを安全に管理し、不正アクセスや情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策を講じることも重要です。

専門知識が必要

人流データの収集や分析には、専門的な知識と技術が必要です。必要な知識やノウハウが不足している場合、正確なデータの取得や効果的な活用が難しくなります。

自社に専門知識を持った人材がいない場合は、専門会社へのアウトソーシングを検討しましょう。

人流分析でビジネスや地域の課題を効率的に解決しよう

人流データ分析は、新規店舗の立地選定や広告運用、顧客行動の予測など、さまざまなビジネス課題を解決するのに役立ちます。人流データを最大限に活用するためには、正確にデータを収集して、加工・分析することが不可欠です。

ジオテクノロジーズでは、人流データを活用したマーケティングソリューション「Geo-People(人流データ)」を提供しています。スマートフォンアプリの利用者から取得したGPSデータを利用して、高密度かつ連続的な人流データを収集可能です。

さらに、ジオターゲティング広告との連携により、顧客の行動パターンや属性に応じた精度の高い広告配信も実現できます。

人流データ分析を活用し、ビジネス課題の解決を目指す企業様や団体様は、ぜひジオテクノロジーズにご相談ください。




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