TOP > デジタル地図活用術 > 物流DXを促進する不動産IDとは?活用方法など詳しく説明します。
2024.12.25

物流DXを促進する不動産IDとは?活用方法など詳しく説明します。

マンションや一戸建てを購入する際に、「不動産登記」を経験された方も多いのではないでしょうか。
不動産登記は、購入した不動産が自分の所有物であることを証明するために必要な手続きですが、手数料がかかるうえ、不動産取引自体が複雑なイメージを持たれることも多いかもしれません。
そんな複雑なイメージを持たれがちな不動産取引ですが、国土交通省が「不動産ID」という新しい仕組みを導入しようとしていることをご存じでしょうか?
これは、不動産取引において手間のかかる不動産の場所の特定をよりスムーズにすることを目的とした取り組みで、不動産のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する一環として進められています。また、この不動産IDは不動産取引だけでなく、物流業界など幅広い分野での活用も想定されています。
この不動産DX推進のために検討されている「不動産ID」について、日本全国の住所データを整備・保有しているMapFanが、分かりやすく詳しく解説します。

住所のユレ、旧住所などを自動で修正するサービス「住所確認サービス」の無料トライアルを使ってみませんか?

物流DXを促進する不動産IDとは?活用方法など詳しく説明します。

不動産IDとは?

不動産IDとは、国土交通省が規定する「不動産を一意に特定できる各不動産の共通コード」を指します。このIDは、「不動産登記簿上の不動産番号(13桁)- 特定コード(4桁)」という形式で構成されています。
通常、13桁の不動産番号だけで物件の特定が可能ですが、物件によっては追加情報が必要となる場合があり、その際に「特定コード」が付与されます。例えば、複数のテナントが入る「商業ビル」の場合、「階層コード(2桁)」と「階数(2桁)」を追加して情報を補完します。
階層コードは、「地上・通常階:G0」「地上・中間階:GM」「地下・通常階:B0」「地下・中間階:BM」のいずれかを選択、階数については右詰で表記され、例えば地上2階の場合は「G002」となります。

17桁の不動産IDは不動産物件のマイナンバーカードのようなもので、登録した不動産会社によって住所表記法が異なっていたり、同じ住所に複数の物件があったりする場合でも不動産IDが特定の物件を示す基準となるため、物件の特定が簡単にできるようになります。

不動産業界の方へ 不動産AI「Gate.」が実現したワンクリック市場分析採用事例は こちら>
https://business.mapfan.com/resources/download/3865

参考:国土交通省「不動産 ID ルールガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001594268.pdf

 

不動産ID活用の考え方

不動産IDルールガイドラインによると、不動産IDは「官民の各主体が保有する不動産関連情報の蓄積や活用、消費者への的確な情報発信を促進すること」を目的としています。

・誰でも自由に活用できる
不動産IDは、社会のさまざまな分野で活用されることを目的としており、基本的に誰でも自由に利用することが可能です。ただし、法令や公序良俗に反する行為や、不当に第三者に損害を与える目的での利用は認められていません。

・データ取扱いの注意点
不動産ID自体は特定の個人を識別するものではありませんが、他の情報と組み合わせることで個人を特定できる場合には、個人情報保護法に基づく適切な取扱いが求められます。この場合、法令に基づいた既存の実務範囲内での利用であれば特別な対応は不要ですが、新たな利用方法を検討する際は、目的の公表や第三者提供時の同意取得などの措置が必要です。

不動産業界の方へ 住みたい街のこれからが見える 3年先の未来地図を活用事例 はこちら>

国土交通省は、不動産IDを将来的に街づくりや防災、グリーン・カーボンニュートラルの推進、さらにはドローンやロボット技術など、さまざまな分野での活用することを視野に入れたIDとして位置付けています。

不動産ID 誕生の背景と不動産業界以外での活用法

不動産IDは、国が推進するデータ整備・連携・オープン化事業の一環として位置付けられています。ここでは、不動産IDが導入された背景について解説します。

1 なぜ不動産IDが必要になったか
従来の不動産登記の仕組みには、幅広い場面で共通して利用できる番号が存在しませんでした。そのため、住所や地番の表記揺れなど日本の住所の複雑さに起因して、不動産を正確に特定することが困難なケースがありました。
また、不動産の開発や仲介の場面では、複数の所有者が持つ不動産関連情報を集める必要があり、不動産を特定することの難しさが事業効率の低下を招く要因となっていました。こうした課題を解決し、不動産をより明確かつ効率的に特定できる仕組みとして整備されたのが、不動産IDです。
2022年3月には、国土交通省の不動産IDルール検討会によって「不動産IDルールガイドライン」が策定され、このガイドラインに基づき、不動産IDの適用が順次進められています。

2 日本の住所の複雑さとは?
a. 住民登録等に使われる住所登記には2種類の表記方法が混在
住民登録等に使われる住所登記に法務局が定める地番をベースとしたものと、建物に対して付与された番号である住居番号と街区符号で構成される住居表示制度によるものの2種類の表記方法があります。
土地に付与される地番は不動産登記や徴税に使われています。地番は土地の分割や統合で複雑化し、市街地では住所として不便になることもありました。そこで住居表示制度に基づき、住居番号が1962年に導入されました。住居表示制度の下、建物ごとに住居番号が付与され日本の住所のわかりにくさが改善されました。この居住番号により配達や緊急車両の対応がスムーズになりました。
しかし、住居表示は日本全地域で採用されておらず、日本の住所表記は地番住所と住居表示住所が混在し複雑な状態になっています。

b.日本の住所表記の漢字カタカナひらがななど複数表現による表記ユレ
日本語は漢字、ひらがな、カタカナ、アラビア数字、漢数字など、多様な文字を組み合わせて表記できる複雑な言語です。また、「の」を「ノ」と書いたり数字を漢数字やアラビア数字で表現したりしても意味が通じるため、表記が多様化しやすい柔軟さを持っています。これらの日本語の特性が住所表記のユレを引き起こす要因になっています。

c.公的な住所変更による新旧住所表記の混在
日本の住所には、市区町村合併などで住所が変更されるという問題もあります。行政上の都合で住所が変更されても、全ての住所表記が新しい住居表示に変更されず新旧の住所表記が混在することが多く、住所表記の複雑さを引き起こす一因となっています。
一例として、浦和市がさいたま市浦和区に変更されたケースなどが挙げられます。

3 物流配送先住所確認作業での不動産ID活用実証実験について
不動産業界だけでなく日本の物流業界でも住所表記の複雑さが原因で配送先住所の確認に大きな手間がかかっているという課題があります。
前述した「1丁目2番3号」や「1-2-3」といった異なる表記形式や、全角と半角の違い、郵便住所と登記上の地番の不一致などの日本の住所の複雑さが業務効率を低下させる原因となっています。
大手物流企業によると住所の確認作業に全国で毎月約4万8000時間を費やしているといいます。日本の住所の複雑さの問題は確認作業の負担や誤配送を引き起こすだけでなく、情報共有やデータ連携の障害にもつながっています。

この課題を解決するため、国土交通省は土地や建物に割り振られた住所を一意に識別できる不動産IDを使って配達先住所の確認を行う実証実験を開始します。住所確認にかかる時間を削減し、業務効率を向上させることが期待されています。

この実証実験は2024年12月から東京都港区、杉並区、大阪市、札幌市など約20の自治体で行われ、民間企業が参加します。日本郵便が保有する郵便受けの所在地情報に基づいたデータベースと不動産IDを連携します。宅配現場において住所ではなく不動産IDを使って配達先に配送できるか、誤配を防ぐことができるか、住所確認の手間を減らすことができるかなど効果検証を進めています。

配車担当者の方へ 効率化が求められる配車計画のお悩みを解決する3つのポイント お役立ち資料はこちら>

まとめ

不動産IDとは何か、どのような考え方でその活用が検討されているのか、また不動産業界以外での活用事例として、物流業界での実証実験についてご説明いたしました。
物流業界での不動産IDの活用は非常に先進的で意義深い取り組みですが、現在はまだ実証実験の段階で全国的な導入にはもう少し時間がかかる見込みです。
ジオテクノロジーズでは、物流業界における配達先の確認作業を支援するため、古い住所を新しい住所への修正や、住所表記のユレを統一ルールに基づいた正しい住所に修正する「住所確認サービス」をご提供しています。配達先住所に手間がかかっていてお困りの方やこのサービスにご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

荷物が届かず困っている方に 正しい住所に変換してくれる「住所確認サービス」お役立ち資料は こちら>
住所確認サービスの 詳細やお問い合わせは こちら>

さらに、MapFanでは全国の住所データを整備・保有しており、お客様の住所リストに緯度・経度情報を付加する「ジオコーディング」や、逆に緯度・経度から住所を特定する「逆ジオコーディング」のサービスもご提供しています。ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

住所ジオコーティングのお問い合わせは こちら>
住所データの詳細は こちら>




法人向けサービスに関するお問い合わせはこちらから

法人向けサービスに関するお問い合わせはこちらから

関連サービス

関連記事