EV時代の安心ドライブを支える、ジオテクノロジーズの充電ステーションデータとは?
電気自動車(以下EV)の普及に向けて、日本国内でも官民が連携した多角的な取り組みが進められています。インフラや技術の整備が着実に進む中で、意外と注目されにくいのが「地図データ」です。EVを安心して利用するためには、充電ステーションの情報基盤の整備が欠かせない要素となっています。
ジオテクノロジーズでは、様々なスポットデータを整備しています。スポットデータは、地図上の表記や施設の検索機能に利用できるデータですが、近年では特に「EV充電ステーション」の情報整備に注力しています。今回は、その背景やこだわり、そしてデータが社会にもたらす価値についてご紹介します。
電気自動車(以下EV)の普及に向けて、日本国内でも官民が連携した多角的な取り組みが進められています。インフラや技術の整備が着実に進む中で、意外と注目されにくいのが「地図データ」です。EVを安心して利用するためには、充電ステーションの情報基盤の整備が欠かせない要素となっています。
ジオテクノロジーズでは、様々なスポットデータを整備しています。スポットデータは、地図上の表記や施設の検索機能に利用できるデータですが、近年では特に「EV充電ステーション」の情報整備に注力しています。今回は、その背景やこだわり、そしてデータが社会にもたらす価値についてご紹介します。

EVシフトの現状と課題
世界的に気候変動対策が求められる中、経済産業省は脱炭素対策として「2035年までに新車販売で電動車100%を実現」という目標を掲げ、ハイブリッド車(HV)を含むすべての新車を電動車(EV・PHEV・HV・FCV)へと切り替えていく方針を示しています。
しかし、2025年現在、日本国内ではEVの普及が急速に進んでいるとは言えないのが実情です。メディアでも「頭打ち」「失速」「踊り場」といった言葉が目立ちます。「正直なところ、EV社会なんてまだまだ先の話だろう」。そう感じている方も多いのではないでしょうか。
その一因として、多くの調査で明らかになっているのが「充電インフラの不足の不安感」です。
「家の近くに充電できる場所がない」「外出先で電欠になったらどうしよう」――そんな不安が、EVの導入を妨げる大きな要因の一つとなっていると考えられます。
充電ステーションの現状と今後の展開
こうした不安を解消するために、各業界でさまざまな取り組みが進められています。例えば自動車メーカーでは、航続距離の長い車の開発など、EVの使い勝手を高める技術改良が進められています。また、東京都では新築マンションへの充電器設置が義務化されるなど、官民一体の施策が展開されています。
そして何より重要なのが、外出先で使う充電ステーションの普及です。
現在、日本国内には約2万カ所の充電ステーションが存在します。しかし、これでもまだ不足しているとされ、経産省は「2030年までに全国で30万口以上」という大規模な整備目標を掲げています。
30万口という数字は、現在の4~5倍の規模に相当します。
将来的には現在の数倍の密度で、充電器が“当たり前にある”時代が到来すると予想されます。
このように充電器の設置数は年々増加傾向にはありますが、実はその一方で多くの充電器がその姿を消しています。現在使われている充電器の多くは2014〜2015年頃に設置されたものであり、耐用年数(8〜10年)を迎えて老朽化や故障により撤去されるケースが増加しているためです。また、利用頻度が低い充電器は採算が取れず、そのまま撤去されてしまうこともあります。
充電器の増え方のイメージ
だからこそ、最新の設置・撤去状況を正確に把握した充電ステーションのスポットデータが、ますます重要になっているのです。
充電ステーションが“どこにあるか”を正確に知ることが、不安の解消につながる
EVユーザーやEV購入を検討中の方々にとって、「今、どこに充電器があるのか」という情報は非常に重要です。
ジオテクノロジーズでは、独自に充電ステーションのスポットデータを整備しており、それをベースに地図サービス「MapFan(ベータ版)」上で確認できるようにしました。
地図上で実際の分布を“見える化”することで、不安の解消につながります。
「思ったよりあるじゃん」と感じてもらえれば、EV導入の心理的ハードルはぐっと下がるでしょう。
ジオテクノロジーズのスポットデータ整備の特長
ジオテクノロジーズが充電ステーションのスポットデータ整備に取り組み始めたのは、EVインフラが本格的に整備される2012年以前にまでさかのぼります。当時からカーナビ用途のデータ整備に携わっていたジオテクノロジーズでは、EVの普及を見据え、いち早く充電ステーションのスポットデータの蓄積と更新体制を構築しました。
比較的初期の段階から充電インフラの地図化に取り組んできたことで、ジオテクノロジーズの充電ステーションのスポットデータの「数の厚み」と「継続性」を支えています。
EV充電ステーションのスポットデータの整備には、他のスポットデータ(たとえば飲食店や店舗など)と比べても特有の難しさがあります。
その難しさとは
①日本全国にどれくらいの充電ステーションがあるのか、網羅された情報が無い
②EVの普及速度に需要が左右されやすい
③充電器を設置・運営している店舗の従業員も、その充電器のことを詳しく知らないことが多い(電話調査で正確な情報を得にくい)
④閉鎖・復旧が切り替わりやすい(故障したとたんにサービスが止まる)
のようなものがあります。
こうした中でジオテクノロジーズが重視しているのは、「正確性」です。
ウェブ情報をはじめ、現地調査・電話調査など複数の情報源を活用し、正確な情報を反映させています。例えば、撤去された充電器は検索でヒットしてしまわないよう、地図データから確実に削除をするようにしています。
またジオテクノロジーズの充電ステーションのスポットデータでは、以下のような細かい充電器の属性情報も持っています。
・急速/普通充電の区別
・出力(kW)
・コネクタタイプ
・利用可能時間(営業時間)
・利用料金
中でも「急速/普通充電の区別」と「出力情報(kW)」、および「普通/高速」は、充電器の利便性に直結する重要な要素です。
今さら聞けない、充電器のタイプの違い
ところで、充電スタイルの違いから、充電器は3種類に分類されるのをご存じでしょうか。
基礎充電
自宅やオフィスなど、長時間駐車する場所で行う日常的な充電
経路充電
高速道路のサービスエリアなど、移動中に短時間で行う充電。急速充電器(30~50kW)が主に使われます
目的地充電
観光地や商業施設、宿泊先など、滞在中に行う充電。普通充電器(3~6kW)が設置されることが一般的です
このように、ドライブの途中に立ち寄るのは経路充電、目的地で長時間車を停車させる際に充電するのは目的地充電、と利用シーンによって充電器を使い分けることが大切です。経路充電をするつもりで、目的地普通充電器を利用した場合は予想以上に時間がかかってしまうケースも少なくありません。さらに、同じ経路充電でも出力(kw)が異なると充電時間が違ってきますので、よりスピーディーに充電したいときは、より高出力の充電器を使うことが大事です。
ユーザーにとって「どの充電器がどのタイプか」や「どの充電器がどれだけの出力を持っているか」は、事前に把握しておくべき重要な情報といえるでしょう。
ジオテクノロジーズの充電ステーションスポットデータが持つ充電器ごとの「急速/普通充電の区別」と「出力情報(kW)」は、このような「充電器選び」に役立つ情報です。検索結果の中から、より充電シーンに適した充電器を、よりスピーディーに充電できる高出力の充電器を、それぞれ探すことが可能になります。
※ジオテクノロジーズの充電ステーションスポットデータでは、一般の方が利用できない基礎充電は整備対象外となっています。
またEV充電は、充電完了までに時間がかかることが課題の一つとされており、その解決策として、より高出力な急速充電器の開発が進められています。近年では100kW以上の充電器が普及しはじめており、300kWを超える超急速のモデルも登場しています。現状では50kW前後の急速充電器が市場の主流ですが、今後もしかしたら「50kWだと物足りない」時代が来るかもしれません。
「EV QUICK(急速充電)」と「EV 200V(普通充電)」、2種類の充電器が設置されていることを示す標識。
充電ステーションのスポットデータ活用の可能性
現在、充電ステーションのスポットデータはカーナビ用途が中心ですが、今後、さまざまな業界での活用が広がっていくと見込まれています。
例えば、自動車メーカーにおいては、カーナビの充電ステーションのスポットデータを充実させて、充電計画も考慮した最適なルートをリアルタイムで探索し提案する機能、観光業では、EVユーザー向けに、充電ポイントを組み込んだ安心・快適な観光ルートの設計、物流業では、充電ステーションの位置情報を基に、配送車両のルート最適化と効率的な充電計画を立てることなどの活用が検討されています。
さらに、不動産開発の分野では、物件周辺のEVの充電環境を“見える化”することで、EV対応物件としての価値を高める活用も期待されています。加えて、自治体の都市計画の分野においては、地域ごとの充電インフラの整備状況を把握し、今後の設置計画に役立てるための基礎データとして重要な役割を果たします。
こうしたニーズを踏まえて、ジオテクノロジーズでもさらなる充電ステーションのスポットデータの拡充と利便性の向上を進めています。例えば、ユーザー自身が情報を投稿できる仕組み(サービス名「ジオクエ」)を活用することで、現地の最新状況を把握できるようになる取組も検討中です。また、充電器の予約が可能か、今空いていて充電できるのかといった“リアルタイムの状況”がわかれば、より計画的で安心して利用できる環境が整います。
こうした取り組みを通じて、ジオテクノロジーズは充電ステーションのスポットデータを単なる“地図情報”の枠を超え、EV社会全体のインフラ基盤としてますます重要な存在に育てていきたいと考えています。
「EVはまだ不安だからやめておこう」――そんな声をよく耳にします。
その不安のひとつが、「どこで充電できるか分からない」ということではないでしょうか?
ジオテクノロジーズは充電ステーションのスポットデータを使って“今、どこに充電器があるか”を見える化し、不安を取り除いていきたいと考えています。
実際に地図サイトMapFanで充電ステーションがある場所を見て、「意外とたくさんある」と感じてもらえたら、それだけでEVはぐっと現実的な選択肢になるはずです。
「EVを使いたいけど不安がある」という方も、「EV関連のビジネスに取り組みたい」という法人担当者の方も。
まずはジオテクノロジーズの充電スポットデータの充実ぶりを、ぜひMapFanでご覧になってください。