人流データにはどのような活用事例がある?具体例を紹介
近年は、スマートフォン普及でGPSによる位置情報の取得が容易になり、人の移動や滞在に関する情報を把握できる人流データを、さまざまなサービスに利用できるようになりました。民間企業はもちろん、行政機関でも地域課題の解決などへの活用が進んでいます。
その一方で、「人流データを使って何ができるか」「自社でどのように活用できるか」をイメージできないという声をよく聞きます。
そこで本記事では、人流データの基礎知識や活用方法のほか、実際の活用事例などについて詳しく見ていきましょう。膨大な量の位置情報を収集し、リアルタイムかつ高密度で連続性のある移動データとして分析が可能な、ジオテクノロジーズの人流データも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ジオテクノロジーズでは、マーケティング領域における人流データ活用についてのご相談・ご質問を承っております。お気軽に以下のリンクよりお問い合わせください。
近年は、スマートフォン普及でGPSによる位置情報の取得が容易になり、人の移動や滞在に関する情報を把握できる人流データを、さまざまなサービスに利用できるようになりました。民間企業はもちろん、行政機関でも地域課題の解決などへの活用が進んでいます。
その一方で、「人流データを使って何ができるか」「自社でどのように活用できるか」をイメージできないという声をよく聞きます。
そこで本記事では、人流データの基礎知識や活用方法のほか、実際の活用事例などについて詳しく見ていきましょう。膨大な量の位置情報を収集し、リアルタイムかつ高密度で連続性のある移動データとして分析が可能な、ジオテクノロジーズの人流データも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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人流データとは、人の移動や滞在に関する情報を数値化したデータのこと
人流データとは、人の流れを記録し、可視化したデータのことです。人流データを分析すると、「どれくらいの人が、いつ、どこからどこへ移動したのか」「移動先でどのくらい滞在したのか」といった移動情報や、滞在情報を把握することが可能です。
人流データは、スマートフォンのGPSや基地局、公共施設のWi-Fi、Bluetoothビーコンなどから収集された位置データをもとに構築され、「人の流れの把握」「施策の効果測定」「将来の動向予測」などに使われます。
費用対効果の高い広告運用や配送業務の効率化といった民間企業での利用のほか、都市開発、観光、交通、防災など、官公庁の領域でも活用が進んでいます。
自治体や企業の人流データの活用事例
まずは、自治体や企業による人流データ活用の事例を、5つご紹介します。民間企業や店舗、施設での利用を考える際の参考にしてみてください。
出典:国土交通省「人流データ利活用事例集」
静岡県静岡市:中心市街地の持続可能な活性化のために人流データを活用
静岡県静岡市では、中心市街地の活性化のために「タクティカル・アーバニズム」を実践し、その一環として人流データを活用した分析を行っています。
タクティカル・アーバニズムとは、小規模な実践を重ね、データを活用しながら検証をして、低予算かつ短期間で柔軟に街づくりを進める手法のことで、時代やニーズの変化に対応しやすいという特徴があります。
静岡市は、中心市街地の空洞化や街への訪問者の減少によって、街の賑わいが失われていることを課題とし、官民連携でさまざまな取り組みを行ってきました。
しかし、従来のやり方では街づくりのコストがかさむことや、リアルタイムでの状況把握が難しいことから、取り組みの効果を広範かつ、より簡易に計測できる人流データを活用しています。
イベントなどの賑わいづくりに関する取り組みにおいて、人流データから街の歩行者交通量の推移や訪問者の年代構成、居住地などを分析することで、効果測定をしています。これまでは、効果測定においては、限定的な調査や感覚的な推察をしていましたが、人流データによって広範かつより簡易に計測ができるようになり、「街への波及効果」を把握することが可能になりました。
その結果、イベントなどによって人の回遊率や滞在時間の増加が確認され、街の特性に合わせた不動産の活用も促進されています。
栃木県佐野市:混雑の見える化と回遊促進に人流データを活用
栃木県佐野市の商店街や飲食店では、観光客の市内回遊の促進を目的に、店舗や観光地の混雑状況を可視化する取り組みに人流データを活用しました。
佐野市では、ご当地ラーメンである佐野ラーメンの有名店に人が集中することにより、待ち時間の増加や来客数の偏りが課題となっています。
そこで、認知度がまだ低い店舗や観光地への回遊を促進し、地域全体の活性化につなげるため、各店舗や観光地の混雑状況を人流データで可視化する施策を展開しました。
施策の取り組み期間中、観光客はスマートフォンやパソコンで確認できるデジタルマップから、店舗の待ち時間や待ち人数、混雑状況などをリアルタイムで見ることができ、特定の店舗ではデジタル整理券も受け取ることができます。また、マップには観光地情報も並べることで、観光客は待ち時間を利用した、各地への回遊がしやすくなっています。
この取り組みにより、より広い範囲の店舗や観光地へ、観光客が分散したという成果が得られました。
小田急電鉄株式会社:イベントの効果測定に人流データを活用
小田急電鉄株式会社では、イベントの効果を正確に測定し、データをもとにテナント誘致や施設運営の判断をするため、遊歩道・新宿サザンテラスに設置したAIカメラによる人流データの取得を導入しました。
同社では、イベントに伴う通行量の変化を把握したり、駅周辺にテナントを誘致したりする目的で、これまでも人力で人流調査をしてきました。しかし、人力での調査は、年間で平日・休日各1日という限られた調査で、コスト面とデータの正確性に課題があります。
この問題の解決のため、AIカメラを設置して計4方向から人流データを24時間365日取得することにしました。通行量や性別・年齢などの属性、滞在時間といったデータを分析することで、イベント後の人流の増加や店舗の売上上昇がデータとして確認され、イベントの効果を定量的に示せるようになったのです。
今後は、競合施設の影響分析、テナントのリニューアルにおける効果測定など、マーケティングツールとしての活用も期待されています。
広島県庄原市:消費×総合交通×人流ビッグデータで潜在需要の発掘
広島県庄原市では、人流データを活用した「観光消費」「地域内消費」「地域内移動活性化」「住みやすさ」の現状と、ポテンシャルの可視化に取り組みました。
庄原市では、地域内における自動車移動への依存、住民の高齢化による移動や消費の減少、コロナ禍に起因する観光産業へのダメージを課題としています。
そこで、人流データ・交通データ・消費データを組み合わせて分析することで、キャンプ場など屋外施設の集客力のポテンシャル、街での大学生の行動範囲の狭さ、地域通貨非加盟店への来訪者の多さ、鉄道駅周辺の歩行者の少なさなどが明らかになりました。
この結果をもとに、交通の乗り換え拠点の強化や観光地へのアクセス改善などを進め、地域の活性化を図ることを目指しています。
神姫バス株式会社:バス交通網の適正化に人流データを活用
兵庫県の神姫バス株式会社は、神戸市のポートライナーの混雑緩和とバス利用率向上を目的に、人流データを活用した交通網の最適化に取り組みました。
神戸市のポートアイランドと三宮エリアを結ぶ公共交通機関には、ポートライナーと路線バスである神姫バスがありますが、利用者がポートライナーに集中する傾向があり、運行ダイヤの過密化や混雑を招いていたのです。
そこで同社では、GPSを活用した人流データの調査・分析によって、移動のピーク時間が想定より早いことや、エリアごとに帰宅ピークが異なることなど、今まで捉えきれていなかった需要と供給を可視化することに成功しました。
人流の大小にもとづいて、バスのダイヤの見直しや、路線の適正化などの施策を実行し、バスの利用者の増加につなげています。
企業や大学によるジオテクノロジーズの人流データの活用事例
ジオテクノロジーズの人流データは、人の動向に密着したリアルタイムで連続性のあるデータに、性別や年齢、職業分類、居住形態、婚姻状況など、10種類以上の属性情報が含まれており、さまざまなシーンで活用が可能です。
ここでは、法人向けに提供しているサービスを活用し、課題改善に取り組んでいる企業や大学の事例をご紹介します。
学校法人愛知大学様:人流データを活用しイベントの効果を分析
学校法人愛知大学様は、さまざまな地域研究やGIS(地理情報システム)研究を推進している三遠南信地域連携研究センターにおいて、イベントや祭礼における参加者や見物人の行動研究にジオテクノロジーズの人流データを活用しました。
高精度な人流データを用いることによって、来場者の集積状況や時間的変化が可視化され、混雑の傾向を把握できます。
また、参加者の行動パターンや居住地の分布を分析することで、イベントがどのように影響を及ぼしているのか、客観的な検証も可能です。研究では、従来のアンケートでは収集が難しかった大規模なデータを短時間で取得できるようになり、分析の精度も向上しました。
今後は、イベントや祭礼時の混雑リスク対策、混雑解消に向けた対策など、実践的な研究へと発展させていく予定です。
クロスロケーションズ株式会社様:精度の高い人流データで自社サービスの質を高め、利用者を拡大
クロスロケーションズ株式会社様は、位置情報ビッグデータを独自AIで解析・可視化し、多様な分野でデータ活用を可能にする、クラウド型人流分析プラットフォーム「Location AI Platform」を展開しており、そのデータソースのひとつとしてジオテクノロジーズの人流データを採用しています。
「Location AI Platform」の機能には、指定した場所の来訪者の流れが素早く判定できる「モニタリング(人流速報)」や、来訪者の性別・年代・居住地などを指定して分析できる「カスタム分析」などがあります。
これらの機能を支える上で、ジオテクノロジーズの人流データが役立っている点は、連続した移動ログによってカバーされている時間帯が長いことや、ログの取得間隔が短いためデータの解像度とGPS精度が高いこと、年齢層など属性情報が補えることなどが挙げられます。
すでに小売業や流通業、製造業、飲食サービス業などのほか、官公庁・自治体などにも利用されており、今後さらに顧客のより幅広いニーズに対応していく予定です。
株式会社NTTデータ様:高解像度な人流データでサービスの質が向上
株式会社NTTデータ様では、地理空間情報とAI、高精度3Dマップなどを活用した、ビジネス戦略プラットフォーム「BizXaaS MaP」を提供しています。その中でも、エリア分析や需要予測を行える「BizXaaS MaP 人流分析サービス」で、ジオテクノロジーズの人流データを採用しています。
同サービスでは、提供しているさまざまなデータのひとつである「道路通行量データ」において、車両のデータが不十分で思うようにデータ精度が出ない点に課題を抱えていました。
そこで、GPSログの取得間隔が短く、解像度の高いデータを提供できるジオテクノロジーズの人流データを採用したのです。
導入後は、車両の通行量の推計精度が向上し、道路通行量データの精度も向上しています。今後は、さらに導入企業の拡大を目指し、新たな製品や機能も追加していく予定です。
株式会社いなげや様:来店しない人のアンケートから、ライフスタイルに合った販促施策を展開
関東地方を中心に展開する大手スーパーマーケットチェーンの株式会社いなげや様では、顧客に直接アンケートをとったり、カードデータを活用したりして、効果的な販促施策を分析しています。その一環として、ジオテクノロジーズのリサーチサービス「Geo-Research」を採用しました。
アンケートやカードデータからの分析では、スーパーマーケットを利用する理由の上位に「距離の近さ」があります。では、近くにいるのに利用しない人はどのような理由があるのか、ポイ活アプリ「トリマ」のアンケートモニターの位置情報を活用する「Geo-Research」で、アンケートを行いました。
特定の期間に「対象店舗の半径2km内に10分以上滞在」したのに、「対象店舗内に30分以上の滞在がない」人を抽出条件とし、さらに20代から50代までの女性を対象としました。
その結果、対象者は店舗と自宅の距離が近くても、日中は都心で働いていて帰宅が遅く、会社近くや駅近くのスーパーマーケットを利用する傾向が見えてきたのです。そのため、対象店舗では、対象者が働いている平日は無理に対策をせず、反対に自宅周辺にいる機会の多い週末で販促を行う方向にしました。
調査によって効果的に顧客離れの対策を打つことができたため、今後も必要に応じて「Geo-Research」を利用して、顧客の行動について掘り下げていく考えです。
人流データを活用して、マーケティングの精度を向上させよう
人々の移動を可視化する高精度な人流データは、マーケティングの精度を向上させ、ビジネス戦略の最適化に貢献します。
ジオテクノロジーズの人流データ「Geo-People(人流データ)」は、高頻度な位置情報の取得により、連続性のある人の流れを把握できる人流データです。これまでは把握が難しかった、短時間の滞在や狭い範囲内の移動が捉えられ、車・電車・徒歩などの移動手段まで推定できるため、ミクロな人の流れを可視化したいときは、ぜひご活用ください。
さらに、人流データを活用した特定の場所を訪問した人をターゲット調査ができる「Geo-Research」もご用意しています。特定エリアや特定属性の人々をピンポイントで抽出し、精度の高いアンケートを実施できるため、合わせてこちらもご活用ください。
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