「庸車」とは、運送会社が自社で持っているトラックやドライバーでは手が足りない時（例えば繁忙期や人手不足の際）に、他の業者に荷物の運送を委託することを指します。この言葉は「傭車」とも書かれることがありますが、どちらの漢字の表記も正しく、どちらを使っても問題はありません。「傭」という字よりも庸車の方がよく使われます。

庸車（傭車）のサービスは、運送を専門に行う会社が他の会社に業務を委託する場合や、運送が専門ではない会社の運送部門が外部の運送会社に業務を委託する場合に利用されます。また、車両のみを借りる場合にも、その車両を「庸車（傭車）」と呼ぶことがあります。

「庸車（傭車）」という字は、「やとわれる」という意味があります。よく似た言葉で戦争で兵士をそろえる際に使う用語に「傭兵」という言葉があります。戦争を行う国の兵士ではなく、金銭などの報酬でやとわれた兵士のことです。庸車（傭車）も同じように、自社で持っているトラックやドライバーが荷物を運ぶのではなく外部の協力会社に荷物を運んでもらうことや車両を借りることをいいます。

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庸車（傭車）を正式に利用するためには、「利用運送」の登録や許可が必要です。他社に庸車（傭車）を依頼する際には、貨物利用運送事業の登録や許可が求められます。これには、貨物利用運送事業法に基づいた申請書を作成し、運輸局を通して国土交通大臣に提出する必要があります。

庸車（傭車）の利用にはメリットだけでなく、デメリットもあります。まずは、荷主側が庸車（傭車）を使うメリット・デメリットについてご紹介いたします。

傭車（傭車）を利用するメリット1：イレギュラー・緊急時などへの柔軟な対応が可能
庸車（傭車）を使うと、通常の業務だけでなく、急な案件や事故、ドライバーの急病などで発生する車両や人員不足にも柔軟に対応できます。これにより、運送会社は様々な状況に迅速に対応し、サービスの質を維持することができます。

庸車（傭車）を利用するメリット2：対応案件の範囲拡大・対応力の強化
特殊な輸送が必要な荷物（冷蔵品、液体物、医薬品など）にも、庸車（傭車）を活用することで対応が可能になります。これにより、自社だけでは賄えない特殊な依頼にも応えることができ、サービスの幅を広げることができます。

庸車（傭車）を利用するメリット3：コスト削減
庸車（傭車）の利用は、コスト削減にもつながります。年間を通じて見ると、自社の車両を過不足なく稼働させながら、繁忙期には庸車（傭車）を利用することで、自社の車両を遊ばせることなくコストを効率的に管理できます。特に、物流業界は景気や季節による波動が激しいため、需要の変動に応じて車両や人員を柔軟に調整することが重要です。庸車（傭車）は車両の購入費、維持費、人件費、自動車税などが不要で、必要な時にのみ利用することで、全体の運送コストの削減に貢献します。

庸車（傭車）を利用するデメリット1：車両の運行状況の管理が難しい
庸車（傭車）先の車両は、自社の車両と比べて運行状況の把握や管理が困難です。自社のトラックなら、デジタルタコグラフや動態管理システムによりリアルタイムで位置情報が把握でき、ドライバーとの連絡も容易ですが、庸車（傭車）先の車両では自社が利用しているこれらのシステムを利用できない可能性があります。その結果、事故や渋滞など予期せぬ事態が発生した際に、対応が遅れることがあります。

庸車（傭車）を利用するデメリット2：自社の信用や評判への影響
庸車（傭車）の利用は自社の信用や評判に影響を与えるリスクもあります。庸車（傭車）先のドライバーのミスによるトラブルが生じた場合、最終的には自社が責任を問われるケースが存在します。庸車（傭車）先のドライバーへの教育は難しく、異なる文化を持つ運送会社のスタッフが業務を担当するため、自社で常識とされる事項が庸車（傭車）先には伝わっていないこともあり、これが予期せぬトラブルの原因になることがあります。

次は運送会社が庸車（傭車）の仕事を請け負うメリット・デメリットの双方についてご紹介いたします。

庸車（傭車）引き受ける運送会社のメリット1：安定した収入
繁忙期に庸車（傭車）業務を引き受けることで、安定した収入を得ることができます。

庸車（傭車）引き受ける運送会社のメリット2 ：取引先との関係強化
庸車（傭車）を通じて荷主との繋がりを築くことができ、これが将来的に強固な関係へと発展する可能性があります。

庸車（傭車）引き受ける運送会社のメリット3：実績の積み上げ
庸車（傭車）業務を引き受けることで、実績が積み重なり、これが信頼につながり、更なる仕事の獲得に繋がる可能性があります。

庸車（傭車）引き受ける運送会社のデメリット1：収入の減少の可能性
孫請けやひ孫請けの関係になると、収入が低くなる可能性があります。

庸車（傭車）引き受ける運送会社のデメリット2：事故発生時のリスク
交通事故が発生した場合、庸車（傭車）業務を請け負った会社がその責任を負うリスクがあります。これには注意が必要です。

庸車（傭車）を利用するリスクを低減するためには主に２つの方法があります。ここでは２つの方法の動態管理（車両管理）システム及びトラックカーナビの導入について紹介します。

①動態管理（車両管理）システムを導入する

動態管理システムとは、スマートフォンや既存の車載器とGPSを組み合わせ車両の位置を管理するためのシステムです。車両の現在位置や運行状態をリアルタイムで把握・管理することが可能です。

このシステムで、車両の走行距離の計測やドライバーの勤務時間など様々な情報も収集でき、業務の効率化や労働環境の改善に役立てることができます。動態管理システムは、主に運送会社、バス会社、保険会社（多数の営業車で営業）などで利用され業務効率向上に貢献しています。

動態管理システムでできること
ここでは、一般的な動態管理システムでできることを紹介します。

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・車両の現在位置の把握
スマートフォンや既存の車載器などと連携しGPSデータを使ってリアルタイムで車両の位置を確認できます。お客様から「荷物はどこにあるか」という問い合わせがあった場合にドライバーに電話をかけるなどして位置を確認する必要もなく、GPSデータを使って地図でどこにいるかを確認するだけで即座に回答することができます。

・運転日報の自動作成
ドライバーの走行距離や停車時間などが自動で記録されるため、ドライバーが一日の業務終了後、手作業で日報を作成する代わりに、自動的に日報を作成できます。ドライバーの勤務時間を短縮し、記録の正確性も向上します。

・運転情報のチェック
ブレーキのかけ方、運高速度など細かい運転データから指示された正しいルートを運行したか危険な運転をしていないかを確認できます。

・走行ルート記録分析
過去の走行ルートデータを分析し、配送時間の短縮や燃料費の削減につなげることができます。

②トラックカーナビを使う

目的地を設定してボタンを押すだけで大型車に関する規制を考慮した適切なルートを検索してくれるトラックカーナビを使うことも有効です。
例えば、ジオテクノロジーズの「スグロジ」というトラックカーナビでは、大型車用のルート検索が可能なだけでなく、ドライバーと管理者が一時的な通行止めや事故などリアルタイムな情報を双方向で交換できる機能を備えています。

さらに、「スグロジ」には「集荷配送先カルテ情報」という機能があり「配送先の門は自分で開閉する」「配送先に到着したら、管理人室で許可をもらう」といった、配送先ごとの特有の情報を共有できます。これにより、ドライバーは配送先ごとの特別なルールを事前に理解し、スムーズに配送業務を行うことが可能になります。

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ジオテクノロジーズでは庸車（傭車）を利用する場合に有益な動態管理システムに必要なGPSの緯度経度情報を地図表示させるために必要な住所データ、大型車の配車ルート検索に利用できる大型車規制データ、庸車（傭車）と情報共有ができるトラックカーナビなどをも提供しています。ご興味のある方は、是非お問い合わせください。

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