公開日:2026.02.04 更新日:2026.02.17

人流データで京都観光の日本人と外国人の違いを調査 ~外国人観光客が多く訪れる嵐山・清水、観光も地元生活も集中する四条通~

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ジオテクノロジーズは、京都を訪れた観光客に人気のエリアやその周遊について、主に日本人と外国人の共通点や相違点に着目しながら、人流データを用いて調査しました。

今回の調査によって明らかになった主要なポイントと観光エリアの人気ランキング(表1)を示します。以降では、これらの詳細について説明していきます。

  • 観光客だけでなく地元住民にとっても最も来訪するのは四条通エリア
  • 日本人観光客に人気なのは岡崎エリア、外国人観光客に人気なのは嵐山エリアと清水エリア
  • 観光客の周遊について、日本人にとっての中心は京都駅エリアと四条通エリア、外国人にとっての中心は嵐山エリア、清水エリア、四条通エリア
  • 外国人観光客は、嵐山から清水へといった京都を横断するような比較的長距離の移動にも積極的
表1:観光エリアの人気ランキング

ジオテクノロジーズでは、高度な人流分析技術に基づくコンサルティング・受託分析を行っています。ご興味のある方はこちらの問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

調査の概要

近年、日本国内ではインバウンド観光やそれに伴うオーバーツーリズムが話題となっており、2025年は訪日外国人旅行者数が過去最多となりました※1。2026年は人数こそ減少に転じる見通しであるものの、消費額は引き続き増加が予想されており※2、相変わらず注目度の高い話題です。そこで、今年もそうした話題の中心となりそうな春の京都を対象として、観光行動における日本人と外国人の共通点や相違点を人流データの分析によって調べました。

ジオテクノロジーズでは、M2E(Move to Earn)アプリ「トリマ」を運営しており、トリマが収集する人流データをプライバシーに配慮した形で様々な業務に活用しています。本調査では、2025年4月1日〜4月30日(30日間)に京都市を訪れたアプリユーザの人流データを用いており、これを地図上に可視化すると図1左のようになります。また、今回はトリマのデータだけでなく訪日外国人の人流データも利用しており※3、全体として19万人超の人流データを用いました。

図1:京都市に集まる人流(左)と観光エリア(右)

また、この調査では京都市内の観光エリア17箇所(図1右)を対象としました。観光エリアは、金閣寺エリアのように1つの観光名所からなるものと大原三千院エリアのように近隣の複数の観光名所をまとめたものがあります。複数の観光名所をまとめたものをいくつか補足すると、岡崎エリアは平安神宮、南禅寺の他、美術館や動物園、野球場などを含むエリアです。四条通エリアは四条河原町を中心に烏丸通から祇園までを含む繁華街エリア、円山公園エリアは八坂神社、知恩院、高台寺を含む寺社仏閣エリア、清水エリアは清水寺とそこに続く土産屋などが並ぶ坂道を含むエリアです。

人気の観光エリアは?

まずは、観光エリアの来訪傾向が日本人観光客と外国人観光客でどのように違うかを、地元住民とも比較しながら見ていきます。図2に2025年4月における観光エリアへの来訪率を示します。例えば、四条通は日本人観光客の約40%が来訪し、日本人観光客にとっては一番訪れる人が多い「人気のエリア」であることを意味します。

図2:観光エリアの来訪率

図が示すように、四条通は観光客としての国籍や地元住民かを問わず多くの人が訪れるエリアであることが分かりました。このような特徴を持つエリアはオーバーツーリズムが問題になりやすいといえます。実際に、四条通は京都の中心に位置し、買い物、食事、遊び、宿泊など様々な目的のための施設が密集するエリアであるため、日常的に多くの人々でごった返しており、オーバーツーリズムの深刻化が取り沙汰されています※4。同様に交通の要である京都駅も国籍や観光客かどうかに関わらず多くの人の来訪がありました。

違いに着目すると、嵐山や清水は、外国人観光客の来訪率は2位と3位ですが、日本人観光客や地元住民の来訪率はやや低いため、外国人に特に人気のエリアといえます。一方、岡崎エリアは外国人観光客の来訪率は低めで日本人観光客や地元住民の来訪率が高いため、このエリアにある平安神宮や南禅寺、美術館や動物園は日本人観光客や地元住民に人気があるといえます。この他、外国人観光客に特に人気なのは伏見稲荷や金閣寺、地元住民に人気なのは京都府立植物園ということが分かりました。

次にどの観光エリアに行くか?

続いて、観光エリアから観光エリアの移動について日本人観光客と外国人観光客の違いを見ていきます。図3に、ある観光エリアの来訪後、その日は次にどのエリアに移動しやすいかという移動率を調べた結果をヒートマップとして示します。ここでは色が濃いほど移動しやすいことを意味し、例えば図左端の1行目は、日本人観光客は大原三千院の来訪後、四条通や京都駅、貴船・鞍馬エリアに移動することが多いことを意味します。ただし、1時間以内に同じエリアに戻ってくる移動は除いています。

図3:観光エリア間の移動率

目立つ結果として、日本人も外国人も観光客も地元住民も移動先が四条通であることが多いことが分かりました。これは前述の四条通の来訪率が高いことにも符合し、どこかを観光した後に四条通で食事や宿泊を行っていることが多いことが伺えます。日本人観光客に着目してみると移動先としては京都駅も多いことが分かり、この特徴は外国人観光客ではそれほど顕著ではありません。このことから、日本人観光客は外国人観光客に比べて日帰り旅行が多く、観光後に京都駅から新幹線などで帰路に着くことが多いことが示唆されます。地元住民は四条通への移動の他、同じ所へ戻ってくる移動が多いことが分かります。これは従業員である可能性があります。

日本人観光客と外国人観光客の細かい違いに着目していくと、大原三千院からは日本人観光客は貴船・鞍馬に移動することが多いですが、外国人観光客は嵐山に向かうことが多いです。大原三千院からは、貴船・鞍馬は直線距離で約6.0kmと比較的距離が近いので日本人観光客の移動は自然なように思われます。一方で嵐山は約18.3kmも離れており大原三千院→嵐山という観光ルートは外国人観光客にとって何か特別な魅力があるのかもしれません。

観光エリア間の移動距離についてさらに調べてみます。図4に観光エリア間の移動について数が多かった上位15種類をエリア間距離と共に示します。例えば、図左端から日本人観光客の観光エリア間移動は四条通→四条通が最も多い約10%であることが分かり、同じ所へ戻るこの移動のエリア間距離は0kmです。嵐山→四条通については、エリア間距離は約8.5kmで、日本人観光客の移動の約3.2%を占めます。

図4:観光エリア間移動とエリア間距離

先ほど、大原三千院→嵐山という長距離のエリア間移動について、外国人観光客は日本人観光客などに比べて多いことが分かりました。この長距離移動は外国人観光客の中でも約0.3%(47位)と上位ではありませんでしたが、全体の傾向を見ると嵐山→四条通、清水↔︎嵐山といった5kmを超えるようなエリア間移動が上位に来ており、こうしたことは日本人観光客や地元住民には見られない傾向です。エリア間移動全体からエリア間距離の平均値を求めてみると、外国人観光客は約4.3km、日本人観光客は約2.9km、地元住民は約1.2kmであり、外国人観光客が比較的長距離の観光エリア間移動に抵抗が少ないことは間違いないようです。
この他に、四条通から今回対象とした観光エリア以外の場所に訪れた後で再び四条通に戻ってくる移動は、国籍や観光客かどうかに関係なく多いことも分かりました。

どのように観光エリアを周遊するか?

より長く観光エリア間の移動を観察していき、どのようにエリアを巡るかという観光周遊についても見ていきます。図5に日本人観光客が1日の間に訪れた観光エリアの来訪順を示します。図からは例えば、日本人観光客の最も多くが初めに四条通を訪れ、さらにその中の多数がその後京都駅を訪れ、そこから少数が再び四条通に向かったことが分かります(1:四条通→2:京都駅→3:四条通)。つまり人気の周遊を表しています。同様に図6には外国人観光客のものを示します。ただし、いずれも周遊数の多い上位10%のみを示し、いくつかのエリア間移動には全体に対する割合も示しました。

図5:日本人観光客の観光エリア周遊
図6:外国人観光客の観光エリア周遊

日本人観光客の周遊については、すでに述べたように、多く(約36.2%)は初めに四条通を訪れ、次に京都駅を訪れています。その大多数は多くはそこで1日の周遊を終えているようです。このような1:四条通→2:京都駅の周遊は全体の約1.5%でした。一方で、初めに京都駅を訪れる観光客も目立ち(約23.6%)、その多くは次に四条通を訪れており、1:京都駅→2:四条通の周遊は全体の約2.1%でした。この2つの主要な周遊から、京都駅と四条通は交互に来訪されやすいことが分かります。また、1日に訪れる観光エリアとしてはほとんどが2箇所までで、多くとも3箇所くらいであることが分かります。そして、1日の周遊の最後は京都駅か四条通となっています。ここから、日本人観光客にとって1日の最後は京都駅から帰路につくか、京都駅または四条通で宿泊かといったことが伺えます。

外国人観光客について、1日のスタートとして多いのは四条通(約24.7%)、嵐山(約14.1%)、清水(約10.3%)です。日本人観光客では多かった京都駅はやや少ないです。そして、次に向かうのは四条通が最も多く、1箇所目に嵐山、清水、京都駅を訪れた後に2箇所目に四条通に向かう周遊は全体の約5.2%にもなります。2箇所目の来訪としては清水や嵐山も多いです。来訪の1・2箇所目を見るといずれも嵐山、清水、四条通が人気のようで、初めに嵐山を訪れた観光客の多くが次は嵐山以外の清水か四条通へ向かうというように、3つのエリアのうち2つを1日で周遊しようという傾向が見て取れます。これは、前述の日本人観光客が京都駅と四条通の2エリアを交互に周遊していたことに対して興味深い違いといえます。そして、外国人観光客の1日の周遊はほとんどが2箇所までで、3箇所はほとんどありません。また、1日の最後は四条通であることがほとんどで、宿泊のための来訪であることが伺えます。

最後に

今回は、ジオテクノロジーズの人流分析の取り組みの一例として、京都における観光行動について日本人と外国人の共通点や相違点に着目した調査を紹介しました。本レポートで紹介できたのは調査結果のごく一部でしたが、人流分析では、四条通のどのお店が人気か、観光エリア間の移動ではどのような経路を通っているか、日本人観光客は本当に京都駅から家路についたり四条通で宿泊したりしているのか、などさらに深い調査も可能です。

こうした人流分析技術を駆使すれば、観光誘客やオーバーツーリズムといった観光施策における課題の解決に活路を切り開くことができます。例えば、混雑緩和を目的としたルート提案や、人流モニタリングサービスなどはすでに取り組んでいます。ジオテクノロジーズでは、今後も人流分析技術の向上を行い、様々な課題解決を支援してまいります。

(執筆:ジオテクノロジーズ株式会社 デジタル データアナリティクス 池田)

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