公開日:2026.01.20 更新日:2026.01.26

自動運転が物流業界を変える!自動運転への取り組みの現状を紹介!

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「物流2024年問題」という言葉をご存じでしょうか。

これは、物流業界において残業時間の上限規制が導入され、従来運べていたすべての荷物を運びきれなくなる可能性が指摘されている問題です。こうした状況は「物流クライシス」とも呼ばれ、社会全体に大きな影響を及ぼすと考えられています。

この物流2024年問題や物流クライシスと呼ばれる問題を解決するため、国は自動運転の実現などを促すなど解決に向けたさまざまな取り組みを主導的な立場で進めています。

今回は、物流業界を取り巻く課題や現状を整理するとともに、国が検討・推進している自動運転関連の取り組み状況を紹介します。あわせて、ジオテクノロジーズが保有する自動運転に活用可能な地図データや人流データについて、また、今後取り組もうとしている内容についても解説していきます。

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自動運転が物流業界を変える!自動運転への取り組みの現状を紹介!

物流業界を取り巻く環境と課題

ドライバー不足

少子高齢化と人口減少の進行により、生産年齢人口が将来的に約5,500万人まで減少すると見込まれています。こうした中、トラックドライバーは他産業と比べて平均年齢が高く、担い手の急速な減少が予測されており、物流業界は構造的な危機に直面しています。

特に2024年に時間外労働の上限規制が適用され、十分な対策が講じられなければ物流の停滞を招きかねない、いわゆる「物流2024年問題」に直面しています。試算によれば、2030年度には輸送力が約34%(約9.4億トン相当)不足し、これまでと同様に荷物を運ぶことが困難になる可能性があるとされています。

トラックドライバー不足(出典:国土交通省「自動物流道路のあり方 最終とりまとめ(案)」より)

カーボンニュートラル

2050年のカーボンニュートラル実現を目標とする中、我が国のCO₂排出量のうち約2割を運輸部門が占めており、その約45%は物流部門に由来しています。地球温暖化対策計画(令和7年2月18日閣議決定)では、2030年度までに2013年度比で35%削減する目標が掲げられており、物流分野におけるCO₂排出量削減は喫緊の課題となっています。

各部門におけるCO₂排出量(出典:国土交通省「自動物流道路のあり方 最終とりまとめ(案)」より)

 

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深刻化するトラックドライバー不足への対応や、より効率的な配送体制の構築、さらにはCO₂排出量削減といった課題を同時に解決する手段として、トラックの自動運転技術に大きな期待が寄せられています。自動運転の実現により、物流業界における喫緊の課題である長時間労働の緩和と輸送効率の向上を同時に実現できるだけでなく、安定的で持続可能な物流システムの構築にもつながると考えられています。

ジオテクノロジーズでは自動運転に利用可能な高精度地図や人流データを保有しています。詳細に知りたい方はこちらからお問い合わせください。

自動運転(AD)とは

①自動運転(AD)とは?

自動運転とは、ドライバー(人)に代わってシステム(自動車)が「認知・予測・判断・操作」を一体的に行い、車両を自律的に走行させる技術を指します。自動運転車には、GPSやカメラ、各種センサー、レーダーなどが搭載されており、車線や周囲の車両・歩行者、建物などの環境情報をリアルタイムで把握しながら、最適な運転操作を自動で行います。一部の市販車には既にこうした技術が採用されており、政府と民間企業の連携によって、実用化に向けた取り組みは加速しています。

自動運転の進化段階は、搭載される技術や運転主体の違いに応じて、「レベル0」から「レベル5」までの6段階に分類されています。

また、自動運転車が事故を起こした場合の責任の所在は、社会的にも大きな関心を集めているテーマです。この点は、自動運転レベル2とレベル3を境に明確に区分されています。

レベル2までは「運転支援」と位置づけられ、運転の主体はあくまでドライバー(人)であり、事故時の責任も運転者が負うことになります。一方、レベル3以上では車両システム(自動車)が主体となって運転を行う「自動運転」として扱われ、事故が発生した場合の責任は自動車側に発生します。

現在、日本国内で市販されている車両に搭載されている自動運転技術の多くは、レベル2までの運転支援技術、すなわち先進運転支援システム(ADAS)に該当します。そのため、現在普及しているレベル2の自動運転技術であるADASはあくまでドライバーを補助する機能であり、最終的な安全確保と責任は運転者に委ねられています。

②大型車への自動運転(AD)や先進運転支援システム(ADAS)導入の難しさ

トラックは乗用車と比べて車体が大きく重量もあるため、自動運転における安全性の確保がより難しいという特有の課題があります。広い検知範囲が必要となることから、多くのセンサーやカメラの取り付けが求められます。

またトラックは車体が大きく重量もあることから、人や障害物を検知して急制動や回避操作を行うと車両の挙動が不安定になりやすく、横転などの重大事故につながる危険性があります。そのため、より早い段階での検知と判断が不可欠で、乗用車のような急な操作が取りにくいという特性があります。

特に一般道で自動運転を実現しようとすると、歩行者や自転車、交差点、周囲車両など予測が難しい要素が多く、状況判断や危険回避の難易度が大きく高まるため、高速道路に比べて技術的なハードルが一段と高くなります。

③自動運転(AD)と先進運転支援システム(ADAS)導入の効果

先進運転支援システム(ADAS)は、安全性の向上や事故削減、車両性能の最適化を目的として、商用車への導入が進んでいます。ADASには、前方衝突警報や車線逸脱警報、死角検出、アダプティブ・クルーズ・コントロール、自動緊急ブレーキ、ドライバー・モニタリング・システムなど、さまざまな技術が含まれます。

長距離トラック輸送や都市部での配送、旅客輸送など、商用車が走行する環境はリスクが高い場面も多く、ADASはドライバーの疲労を軽減するとともに、周囲状況の把握を支援し、より迅速で的確な判断を可能にします。その結果、安全で安定した運行の実現に寄与しています。

高速道路に限定すれば、歩行者や自転車などの存在がなく、走行環境が比較的シンプルであるため一般道に比べて無人走行を含む自動運転の実現可能性は高いといえます。自動運転中はドライバーが休息時間を確保できるなどのメリットも大きく、長距離輸送における労働環境の改善や安全性向上にもつながります。

高速道路だけであれば、ジオテクノロジーズは自社で整備した高速道路の高精度地図を保有しており、すでに乗用車のADASにも採用されています。これらの高精度地図は、自動運転用途にも活用することが可能です。ジオテクノロジーズの高精度地図に興味のある方はお問い合わせください。

物流2024年問題・物流クライシス解決への取り組み

①大型トラックメーカーの自動運転への取り組み

全車速 車車間距離維持支援システム
目的:先行車との安全な車間距離を保ち、追従走行の負担を軽減するとともに衝突リスクを低減する。
具体的な内容:ミリ波レーダーで前方の車両を検出し、車間距離を自動で維持します。前走車が減速・停止すると自車も減速・停止し、発進後は追従走行を再開します(全速度域対応)。


協調型 車車間距離維持支援システム

目的:前走車との距離をより安定的に維持し、車間変動を低減することで快適性と安全性を高める。
具体的な内容:ミリ波レーダーで車間距離を維持し、通信で前走車の加減速情報を受信することにより、自車の加減速を制御し車間距離を安定させます。


車線維持走行支援

目的:車線からの逸脱を防ぎ、走行の安定性とドライバー負荷の軽減を図る。
具体的な内容:カメラで白線を認識し、車線の中央付近を狙ったステアリング制御を行い、車線内の走行を支援します(速度に応じて全車速域で対応可能)。


GPSルート誘導

目的:指定したルートに沿って安全かつ正確に走行することを支援する。
具体的な内容:GPSによって取得した経路情報(ルートマップ)に基づき、ハンドルを制御して設定されたルートに沿うよう走行を補助します。


周辺監視システム

目的:周囲環境の把握を強化し、接触や衝突の危険性をドライバーに早期に知らせる。
具体的な内容:カメラやセンサーで車両周辺を監視し、危険が予測される場合に警報や注意喚起を行います。これにより未然の事故防止に寄与します。


ドライバー異常時対応システム

目的:ドライバーが急病などで運転継続が困難になった場合でも、車両の安全停止を支援して事故を抑制する。
具体的な内容:ドライバーに異常が生じた際(内蔵センサー検知や非常スイッチ入力など)に、車両を減速・停止させる機能です。周囲に注意喚起する警報やランプを作動させ、車線内で安全に停止するよう制御します。
参考:日野自動車「現在開発中のシステム」

②自動運転レベル2での商用運行の実現例

自動運転システムを開発するT2(本社:東京都千代田区)は2025年7月1日、西濃運輸や佐川急便など物流5社と共同で、自動運転トラックによる商用運行を開始すると発表しました。同日から、関東―関西間の最長約500キロの区間で荷物の輸送を行います。T2によると、状況に応じてドライバーが運転を引き継ぐ自動運転レベル2を用いたトラック輸送の商用化は、国内で初めての取り組みだそうです。

本事業では、T2がトラックとドライバーを用意し、幹線輸送と呼ばれる長距離輸送を請け負います。顧客は、西濃運輸、佐川急便、日本郵便、福山通運、三井倉庫ロジスティクスの5社で、宅配貨物から家電製品まで幅広い荷物を取り扱います。

レベル2の自動運転技術は、神奈川県から大阪府・兵庫県にかけての高速道路区間で活用されます。当初はトラック5台体制で月34本の運行を予定しており、順次規模を拡大していくという方針が発表されています。

これまでの実証実験では、運転手に加えて自動運転技術者が同乗していましたが、商用運行では運転手1人での運行を行います。T2は、2027年に特定条件下で完全自動運転が可能となるレベル4による長距離輸送の事業化を目指していくとのことです。

トラックドライバーの時間外労働規制が強化された「物流2024年問題」により、人手不足は一層深刻化しています。T2は、こうした課題を背景に、将来的には自動運転による無人輸送へのニーズが高まると見込んでいます。
参考T2、国内初となる自動運転トラックによる幹線輸送の商用運行を開始

国の物流問題解決への取り組み

①自動ブレーキの義務化

大型トラックが関係する死亡事故は、依然として高い水準で推移しています。国土交通省の事業用自動車交通事故統計によると、令和4年におけるトラック事故は14,383件発生し、そのうち196件が死亡事故となっています。中でも追突事故は5,944件に上り、全体の約4割を占めており、ドライバーの操作ミスや前方不注意による事故を自動制御技術によって防止する必要性が浮き彫りになっています。

国土交通省の分析では、衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)を搭載した大型トラックは、非搭載車両と比べて追突事故件数が約8割減少することが確認されており、同装置の義務化による高い安全効果が期待されています。

また、自動ブレーキの普及は、国際的な車両安全基準との整合を図る動きの一環でもあります。日本では、2013年に成立した国連規則UN-R131(大型車向けAEBS)を踏まえ、メーカー各社が自発的に搭載を進めてきました。さらに近年では、乗用車向けの国連規則UN-R152が新たに制定・改正され、高速走行時や歩行者検知への対応など、性能要件の一層の高度化が進められています。

②高速道路での隊列走行

通信技術を用いて先行車の制御情報を受信し、車間距離を一定に保つ協調型車間距離維持支援システム(Cooperative Adaptive Cruise Control:CACC)や、道路の白線を認識してステアリング操作を支援する車線維持支援システム(Lane Keep Assist:LKA)などの技術が確立されつつあります。これらを活用し、後続車が有人、将来的には無人となる隊列走行の実用化の実現を目指しています。

2020年には、「2021年までに実用的な後続車有人隊列走行システムの商業化を目指す」という政府目標を背景に、日野、いすず、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックスの国内大型トラック4社が共同で実施してきた実証実験の成果をもとに、CACCおよびLKAを搭載した車両の商品展開を進めていくことが発表されました。

さらに2021年2月には、後続車の運転席を無人とした状態での隊列走行実証にも成功しています。
これらの技術は、メーカーを超えて単体の車両に搭載されることでレベル2のADASとして機能し、車両間で協調することで後続車有人の隊列走行を実現します。今後、技術がさらに高度化することで後続車の無人化が可能となり、レベル3からレベル4の自動運転実現へとつながっていくと期待されています。

参考:国交省道路局「第2回自動運転に対応した道路空間に関する検討会」資料

③国の自動物流道路への取り組み

国は自動物流道路の整備を検討しています。自動物流道路とは、「道路空間を活用して専用空間を構築」し、かつ「デジタル技術を活用して無人化・自動化された輸送手法」により荷物を輸送することをコンセプトとしています。道路空間に物流専用の輸送空間を設け(例:中央分離帯や路肩、地下空間など)、デジタル技術を活用した無人化・自動化による貨物輸送システムです。路上での輸送だけでなく、荷物の一時保管や時間調整を行う「バッファリング機能」を持つことで、24時間稼働しながら物流需要の波を平準化できるような設計が検討されています。自動物流道路が実現すれば、ドライバー不足やCO₂削減など物流全体の課題解決につながると期待されています。

自動物流道路は、東京~大阪間の主要幹線輸送ルートを念頭に検討が進められています。今後約10年後(2030年代前半~中盤)をめどに、東京~大阪のルートの一部区間を先行ルートとして整備する計画が示されています。実証実験としては、新東名高速道路の一部区間などで社会実験を実施しつつ、段階的な検証・整備が進められる見込みです。
また、自動物流道路の構築は、道路の路肩や中央分離帯に加え、切土・盛土によって形成された法面(のりめん)、さらには地下空間まで含めた多様な道路空間の活用が想定されています。

参考:下記資料のP5道路空間の利活用イメージ

国は自動物流道路の実現を2030年頃の目標として掲げていますが、コスト面の課題や持続可能なビジネスモデルの構築など、解決すべき論点は少なくありません。また、トラックの自動運転についても、車両の大型化に伴う技術的・運用上の課題が多く残されています。

一方で、幹線道路においては自動化を進める必要があるという国の考え方は妥当であるといえます。レベル5の完全自動運転や自動物流道路の実現を一足飛びに目指すのではなく、まずは高速道路における高度なレベル2の自動運転から着実に取り組みを進めていくことが重要です。ジオテクノロジーズは、この段階的なアプローチこそが現実的かつ効果的であると考えています。

ジオテクノロジーズではAD・ADASに活用可能な高速道路の高精度地図を始め、高速道路施設情報、キロポストなどのデータを豊富に整備・保有しています。これらのデータに興味のある方はぜひお問い合わせください。

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